韓国大統領が歓喜した「日本海に石油・ガス埋蔵」の一報、もし現実なら日本には不都合な4つの理由
隣国・韓国に「夏の世の夢」到来である――。 今週月曜日(6月3日)、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で、「国政ブリーフィング」を行うと発表があった。2022年5月に大統領就任以来、記者会見嫌いで知られ、これまで一度もこのような会見を開いたことがなかった。そのためある記者は、「すわ、北朝鮮と開戦か?」と脳裏を掠(かす)めたという。 【写真】韓国政府が発表した日本海で石油・天然ガスが埋蔵されている可能性があるエリア(赤丸)。これらは韓国の排他的経済水域内にあるという だが、「国政ブリーフィング」に登壇した尹錫悦大統領は、満面の笑顔。話は「石油と天然ガス」に関することだった。以下、少し長くなるが、尹錫悦大統領の発言全文をお伝えする。 ■ 4年分の石油と29年分の天然ガス 「尊敬する国民の皆さん、浦項(ポハン)の迎日(ヨンイル)湾沖に、莫大な石油と天然ガスが埋蔵されている可能性が高いという物理探査の結果が出ました。国民の皆さんに、この事実を報告しようと思います。 皆さんよくご存じのように、わが国は1966年から、海底の石油・ガス田の探査を、たゆまず始動してきました。その結果、90年代後半に、4500万バーレル規模の東海(日本海)ガス田を発見。3年前の2021年までに、産業生産を終えたことがあります。 わが政府に入ってからは、昨年、つまり2023年2月、東海のガス田周辺に、さらに多くの石油・ガス田が存在する可能性が高いという判断を下しました。そこで、世界最高レベルの深海技術評価の専門企業であるアメリカのAct-Geo社に、物理探査の深層分析をお任せしました。 その結果、最近になって、最大で140億バーレルに達する石油と天然ガスが埋蔵されている可能性が非常に高いとの結論が出ました。われわれは、有数の研究機関と専門家たちの検証も経ました。
これは、90年代後半に発見された東海ガス田の300倍を超える規模です。わが国全体が、天然ガスは最大29年、石油は最大4年を超えて使用できるだけの量だとの判断がなされました。そして深海の鉱区としては、今世紀最大の石油開発作業との評価を受ける南米ガイアナ鉱区の110億バーレルよりも、さらに多くの探査資源量と言うことができます。 石油・ガス田の開発は、物理探査、探査ボーリング、産業開発という3段階で進行していきます。今後は、実際に石油とガス田が存在するのか、実際の埋蔵規模はどのくらいなのかといった、確認の探査ボーリング段階を越えていく時期になります。最少でも5カ所のボーリング孔を掘らねばなりません。そしてボーリング孔1個あたり、1000億ウォン(約110億円)を超える費用がかかります。そんな中で、世界最高のエネルギー開発企業群も、すでに関心を見せています。 私は本日、産業通商資源部が担当する東海の深海石油・ガス田に対する探査ボーリング計画を承認しました。事前準備作業を経て、今年末に最初のボーリング孔の作業に入ります。そうすれば来年上半期までに、ある程度の結果が出てきます。国民の皆さんには、十分にボーリングの結果を見守っていただければと思います。 本日、産業部長官が隣席していますので、さらに気になる点については、回答してもらいます。ありがとうございます」 ■ 埋蔵資源が現実ならば日本にとっては困った事態に 以上である。重ねて言うが、尹大統領は満面の笑顔だった。4月の総選挙での敗北、その結果を受けての5月からの国会での追及……と、任期を3年近く残してすでにレイムダックとも囁かれ始めている。 そんな尹大統領にとって、たとえ「取らぬ狸(たぬき)の皮算用」とはいえ、一発逆転満塁ホームランを放った心境なのだろう。実際、韓国メディアも、「海底に眠っている資源総額はサムスン電子の時価総額の5倍!」などと、期待に胸を膨らませた狂騒報道を始めている。