国民年金保険料を支払わないとどうなる?未納のまま放置して「強制徴収」されるリスクを解説
国民年金の「強制徴収」は増えている?実施件数の推移
日本年金機構がまとめた「2023年度の国民年金保険料の強制徴収件数」は、以下のとおりです。 ・最終催告状送付件数:17万6779件 ・督促状送付件数:10万2238件 ・差押執行件数:3万789件 最終催告状が17万件、督促状が10万件程度送付されており、多くの人はこの時点で保険料を納めているようです。 しかし、3万件以上の差押えが執行されていることから、一部の人は期限を過ぎてもまったく保険料を支払っていないことがわかります。 また、差押え件数も増加しているようです。10年前の2013年度の差押え件数は1万476件であり、10年で約2倍にまで増えています。 こうした状況は、今後の年金制度のあり方を考えるうえでも、早急に対処すべき課題といえるでしょう。 国民年金保険料の納付がどうしても難しい場合は、免除や納付猶予の制度を活用しましょう。制度について、次章で解説します。
国民年金保険料の納付が難しい場合「免除・納付猶予」制度はあるか
所得金額が一定額以下の場合、国民年金保険料の免除や納付猶予制度の対象となります。 免除や納付猶予を受けた期間は、実際は保険料を納めていなくても、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。 免除を受けた場合は実際に受け取る年金額にも反映されるため、保険料を納めていなくても将来の年金受給額が増えていきます。 保険料免除と納付猶予の対象者要件は、わずかに異なります。対象となる要件は以下のとおりです。 ・保険料の免除:本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納めることが経済的に困難な場合 ・保険料の納付猶予:20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合 免除や納付猶予を受けるには、いずれも所定の申請書を年金事務所へ提出して承認を受ける必要があります。 また、免除・猶予となる金額は、その人の所得額に応じて決まります。国民年金保険料の免除割合や免除・納付猶予となる所得金額は、以下のとおりです。 ・全額免除:(扶養親族等の数+1)✕35万円+32万円 ・4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 ・半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 ・4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 ・納付猶予:(扶養親族等の数+1)✕35万円+32万円 所得が67万円以下であれば、保険料が全額免除となります。 年金保険料の未納は好ましくありませんが、免除や納付猶予制度の活用は法律で認められているため、決して悪いことではありません。 収入が少なく年金保険料を納めるのが難しい人は、年金事務所で免除や納付猶予制度の活用を相談してみましょう。