国民年金保険料を支払わないとどうなる?未納のまま放置して「強制徴収」されるリスクを解説
国民年金を未納のままにするとどうなる?
国民年金を未納のままにしていると、日本年金機構から以下の順番で連絡が来ます。 ・納付勧奨 ・最終催告 ・督促 ・差押え 保険料が期限までに納付されなかった場合、まずは日本年金機構から保険料の納付を勧められる「納付勧奨」という連絡が来ます。 この時点で保険料を納めた場合、大きな処罰はありません。そのまま次回の納付へと移っていきます。 納付勧奨を無視し続けた、または納付勧奨しても保険料を納めなかった場合は、日本年金機構から「最終催告状」が送られてきます。 最終催告は警告の意味合いが強く「これ以上保険料を納めない場合は差押えとなります」といった趣旨を示すために送られているものです。 この時点で保険料を納めればペナルティは免れますが、何度も最終催告を受け取っているのであれば、納付意識の改善や必ず保険料を納めるための工夫が必要でしょう。 最終催告がされても保険料が納められない場合は「督促状」が届きます。 督促状には「保険料納付の義務が果たされていないため、大至急納付するように」という意味合いが込められており、「もう次はない」といった強い警告がなされています。 この時点で保険料を納付すれば最悪の事態は避けられますが、義務を長期間放棄し大幅な期限遅延となっているのは、本来許されないことだと自覚しなければなりません。 なお、督促状は本人の配偶者や親のような本人以外の世帯主などの「連帯納付義務者」にも送られる書類です。 世帯主や配偶者が督促状を受け取った際は、必ず本人に話をして納付するよう強くいいましょう。 督促状すら無視して保険料を納めないと「強制徴収」と呼ばれる差押えに移ります。差し押さえについては、次章で詳しく解説します。
国民年金の「強制徴収」とは
督促状に記載された期限までに国民年金保険料を納付しなかった場合に、強制徴収と呼ばれる財産の差押えが執行されます。 差押えの対象となるものは、以下のとおりです。 ・給与 ・預貯金 ・不動産 ・自動車 ・ジュエリー・宝石類 ・貴金属 ・有価証券 また、督促状の期限が過ぎてから国民年金保険料を納付した場合、延滞金が課されます。 延滞金は督促状の期限までに保険料を納付すればかかりませんが、督促状に期限を過ぎたその日から加算されていきます。 延滞金の計算式は以下のとおりです。 〈金額1:国民年金保険料の納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日までの金額〉 ・各月の国民年金保険料額(500円未満の端数切り捨て)✕延滞金の割合A✕納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日までの日数✕365 〈金額2:国民年金保険料の納付期限の翌日から3ヶ月を経過して以降の金額〉 ・各月の国民年金保険料額(500円未満の端数切り捨て)✕延滞金の割合B✕納付期限の翌日から3ヶ月を経過して以降の日数✕365 上記金額の合計が延滞金となります(50円未満の端数切り捨て)。 また、延滞金の計算式に登場する「延滞金の割合」は以下のとおりです。 〈延滞金の割合A〉 ・2009(平成21)年12月31日まで:14.6% ・2010(平成22)年1月1日から2014(平成26)年12月31日:4.3% ・2015(平成27)年1月1日から2015(平成27)年12月31日:2.8% ・2016(平成28)年1月1日から2016(平成28)年12月31日:2.8% ・2017(平成29)年1月1日から2017(平成29)年12月31日:2.7% ・2018(平成30)年1月1日から2018(平成30)年12月31日:2.6% ・2019(平成31)年1月1日から2019(令和元)年12月31日:2.6% ・2020(令和2)年1月1日から2020(令和2)年12月31日:2.6% ・2021(令和3)年1月1日から2021(令和3)年12月31日:2.5% ・2022(令和4)年1月1日から2022(令和4)年12月31日:2.4% ・2023(令和5)年1月1日から2023(令和5)年12月31日:2.4% ・2024(令和6)年1月1日から2024(令和6)年12月31日:2.4% 〈延滞金の割合B〉 ・2009(平成21)年12月31日まで:14.6% ・2010(平成22)年1月1日から2014(平成26)年12月31日:14.6% ・2015(平成27)年1月1日から2015(平成27)年12月31日:9.1% ・2016(平成28)年1月1日から2016(平成28)年12月31日:9.1% ・2017(平成29)年1月1日から2017(平成29)年12月31日:9.0% ・2018(平成30)年1月1日から2018(平成30)年12月31日:8.9% ・2019(平成31)年1月1日から2019(令和元)年12月31日:8.9% ・2020(令和2)年1月1日から2020(令和2)年12月31日:8.9% ・2021(令和3)年1月1日から2021(令和3)年12月31日:8.8% ・2022(令和4)年1月1日から2022(令和4)年12月31日:8.7% ・2023(令和5)年1月1日から2023(令和5)年12月31日:8.7% ・2024(令和6)年1月1日から2024(令和6)年12月31日:8.7% 納付していない期間が長いほど、加算される金額は増えていきます。多額の延滞金が課されないよう、年金保険料は必ず期限までに支払うようにしてください。 次章では、国民年金の強制徴収件数について解説します。