「グラスフェッドバター」は脂肪を減少させ動脈硬化を防ぎ骨を丈夫にする【時間栄養学的「気になる食品」】
【時間栄養学的「気になる食品」】 グラスフェッドバター ◇ ◇ ◇ グラスフェッドバターは、牧草を主食として育てられた牛のミルクから作られるバターです。通常のバターは穀物飼料で育てられた牛から作られることが一般的ですが、牧草のみで育った牛のミルクには、より高い栄養価が含まれていることがわかっています。 「MCTオイルダイエット」をやってみた! 本当に「かけるだけ」で体がどう変わった? グラスフェッドバターの大きな特徴は、良質な脂肪酸を多く含む点。特にオメガ3脂肪酸と呼ばれる体の中で合成できない必須脂肪酸が豊富です。オメガ3脂肪酸は、血液の流れを良くし、心臓病のリスクを軽減することが科学的に示されています。また、炎症を抑える作用もあり、慢性的な病気の予防や体調管理に役立つとされる報告があります。 さらに、グラスフェッドバターはそのエサの成分から「共役リノール酸(CLA)」と呼ばれる栄養素を多く含んでいます。動物実験にはなりますが、CLAが脂肪減少に顕著な効果を示すことが確認されています。また、一部のヒトを対象とした研究でも、一定量(3~6g/日)のCLAを摂取することで、体脂肪が減少する傾向が見られたという報告もあります。ただ、その真偽はまだ研究段階と言えるでしょう。 その他には、抗酸化作用を持つことから、体内の細胞を守り、老化の原因となる酸化ストレスを軽減する効果も期待されています。 もうひとつ注目すべき栄養素がビタミンK2です。これは骨の健康にとって非常に重要な栄養素で、カルシウムを骨にしっかり取り込む働きを助けます。同時に、血管にカルシウムが蓄積してしまうことを防ぎ、動脈硬化のリスクを下げる効果が期待されています。 グラスフェッドバターは「バターコーヒー(バレットプルーフコーヒー)」の材料としても話題になりました。これはグラスフェッドバターとココナッツオイルをコーヒーに加えて飲む方法で、エネルギーの持続力が高まり、食欲を抑える効果があるとしてダイエットや集中力向上を目指す人々が注目しています。 ただし、バターである以上、エネルギーが高い食品である点には注意が必要です。また、脂質も多いので脂質代謝が悪くなる夜の摂取は控えることをおすすめします! 日常生活に適度に取り入れることで、その栄養効果を最大限に活かしてみてはいかがでしょうか。 (古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)