「日本の小中学生」の「読書量」が過去最高水準になっているのに対して、過去最低にまで読書量が減少してしまった「英国の子どもたち」の実態
UKのNTL(国立識字基金)の調査“Children and young people's reading in2024"で「楽しみのために読書をする8~18歳の割合」が過去最低の34.2%に減少したと報じられた。日本では小中学生の読書量は過去最高水準にあり、読書率は1990年代までと比べると大幅に改善している(全国学校図書館協議会「学校読書調査」)。英国と日本では何が違うのか。BMG Researchが行っている英国の学校図書館に関する調査"National Survey to scope school library provision in the UK"から掘り下げてみよう。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言 日本を含め大抵の国では年を取るほど本を読まなくなっていくのだが、なぜかUKでは中学生が一番本を読まず、高校生になると男子も女子も楽しみのために読書をする割合が少し増える。これは報告書を読んでも理由は定かではない(大学受験をしない層が16歳になると社会に出るからかもしれない)。
小学校より中学校の学校図書館のほうがマシだが、英国全体で見るとひどい
英国では小学校と中学校の学校図書館に違いがあるから、中学生の読書率が低いのだろうか? と思ってBMGによる英国学校図書館の調査を読むと、むしろ中学校のほうが小学校図書館よりも長時間開館し、専任スタッフの配置も多いし、蔵書数や予算配分も良い(もっとも、日本でも小学生のほうが中学生よりも読書率・量は良いのだが)。 それよりも驚くべきは、英国の平均的な学校図書館の充実度の低さである。 英国では指定された図書館予算を持つ学校の割合はわずか35%で、2019年の43%から減少し、専任の図書館スタッフがいる学校の割合も42%と2019年の54%から減少している。 イギリスでは学校図書館の設置や運営に関する明確な法律や規定は存在せず、各学校が独自に運営方針を決定している。したがって金持ちが行く学校では図書館設置率は高いが、ワーキングクラスが通う公立学校あるいは特別支援学校ではその割合が低くなる傾向がある。階級社会・英国、という感じである。 くわえて平均して図書館は1日6時間開館しているが司書の勤務時間はなんと1日2時間未満で、司書以外のスタッフやボランティアに依存している。