相撲協会設立100周年に新横綱誕生となるか -2025年も目が離せない大相撲
2025年が幕を開け、大相撲界も新たな1年を迎えた。満員御礼が続く活況の中、新たな勢力図や攻防のある取組、財団法人設立100周年となる日本相撲協会の現状やあの部屋の行方など、新年の気になるトピックを探った。
またとない追い風
一人横綱の照ノ富士は両膝の古傷や糖尿病を抱え、満身創痍で休場が目立つ。昨年は2度優勝したが、それ以外の4場所は休場と苦闘をしいられている。それ故に後継者が待ち望まれる状況で、1月12日初日の初場所では早速2人が綱とりに挑む。大関の琴桜と豊昇龍。昨年11月の九州場所で琴桜が千秋楽相星決戦で豊昇龍に勝ち、14勝1敗で初制覇した。このいきさつにより、新横綱待望論がこれまで以上に高まっている。 横綱昇進の過程で必要なのが横綱審議委員会(横審)の推薦。その内規には次のような文言がある。「2、大関で2連続優勝した力士を横綱に推薦することを原則とする。3、第2項に準ずる好成績を挙げた力士を推薦する場合は、出席委員の3分の2以上の決議を必要とする」。広辞苑によると、「準ずる」という言葉は「同等の扱いをする」との意味。厳密に解釈すると、成績によっては2位を意味する「準優勝」では必ずしも適合しない場合があり、これまでも優勝次点力士が次の場所に綱とりが懸かるかについて、議論になることがあった。 昨年九州場所では豊昇龍も高く評価された。昇進問題を預かる相撲協会審判部の高田川部長(元関脇安芸乃島)は早々に、豊昇龍も初場所で横綱昇進に挑戦するとの見解を示した。横審の山内昌之委員長(東大名誉教授)は「来場所における横綱の誕生を深く願っている」と期待感を隠さなかった。両者とも9月の秋場所は8勝7敗。安定感抜群とは言いがたいが、追い風を生かさない手はない。琴桜は189センチ、181キロの巨体を武器にして攻める取り口が増えてきた。先代師匠でもある祖父の琴桜に続く最高位を目指す。豊昇龍は叔父に元横綱朝青龍を持ち、粘り強い足腰と鋭い勝負勘を兼ね備えている。ともに最高位に縁のある立場だけに、2021年名古屋場所後の照ノ富士以来の昇進となれば、余計に祝祭感にあふれそうだ。