日本酒はどの銘柄を選んだらいい? プロが教える「エリア別の味の違い」
日本酒はどの銘柄を選んだらいいのかわからない...居酒屋のメニューを前に迷った経験がある方は多いのではないでしょうか? 酒蔵コーディネーターの髙橋理人さんは「日本酒は地域によって味が異なる」と語ります。自分好みの日本酒を探すために役立つ「エリア別・お酒の選び方」を、書籍『酒ビジネス』より紹介します。 【書影】年間2000種類の日本酒を呑む著者が教える「お酒の教養」 ※本稿は、髙橋理人著『酒ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)を一部抜粋・編集したものです。
プロはどうやってテイスティングをしているのか
コンテストにおいてのテイスティングはどのように行っているのでしょうか。まず、審査をする観点でのテイスティングと、お酒を楽しむテイスティングでは方法が異なります。 実際に新酒鑑評会の審査をした方に話を聞くと、テイスティングをする前には「このお酒は100点のお酒」だと思って飲むそうです。その上で、香りや味など100点に届かないポイントを探りながら、減点方式を採用していきます。 また、お酒を楽しむ際は、その都度水を飲んだ方が良いとされています。酔いが軽減される上に、口の中がリセットされるからです。 しかし、プロのテイスティングでは、途中で水を挟むと浸透圧の影響により味覚が狂ってしまうので、お酒とお酒の間に水は挟まず、20~30種類口にした後に休憩して水を少しだけ飲むそうです。 また、プロのテイスティングは、酔わないように飲み込まず、吐器(はき)と呼ばれる場所や手持ちの紙コップに吐き出します。実際に飲み込んだときと、味の違いはほとんどないのだそうです。 プロは時には1日100種類以上の味を見るため、一般的なテイスティングとはやり方が根本的に違います。その一方、皆さんでもできるお酒を楽しむためのテイスティングをお伝えします。 基本的なステップは、①見る、②香る、③味わう、です。
①見る テイスティングの最初のステップは、見ることから始まります。グラスに注がれた日本酒の色や透明度を観察していきます。その際、香りと味のイメージがある程度固まってくるとベストです。最初は透明だったら「すっきりしてそう」、色がついていたら「味が濃そう」程度のイメージで良いです。 ②香る 次に、香りの評価を行います。グラスを軽く揺らし、可能な限り日本酒の香りを立たせてみてください。その香りをゆっくりと感じ取ります。果実、花、ヨーグルトやチーズといった発酵臭など、多くの種類があるので、まずは感じ取ったままを言葉にしてみてください。また、ここでも味のイメージはしておいてください。 ③味わう 少量の日本酒を口に含み、舌全体で味わいます。ここで重要なのは、見た時と香った時の印象を比較し、どれだけイメージに近いか、そうでないのかを感じ取ってください。その上で味として感じたものをメモに起こしてみてください。感想は人それぞれ違いますが、それでも正直に思った感想をつづってみてください。 私の場合は、色が思い浮かぶことがあります。「黄色い味がする」「緑色の印象がする」という感じです。そして、いろいろ学ぶうちに、黄色が思い浮かぶときは酸味を感じるとき、とわかったりします。 なかには、音楽の楽器に例える人もいますし、芸能人に例える人もいます。人それぞれ違うのだから、勇気をもって思い思いの感想を述べてもらっていいのです。