ザックJがセルビア戦で得たヒント
身長188センチのブラニスラブ・イバノビッチ(チェルシー)と187センチのマティヤ・ナスタシッチ(マンチェスター・シティ)。ビッグクラブでプレーする2選手をセンターバックに並べたセルビアは、中央の守備が極めて堅牢だった。 加えて、長友佑都(インテル)にはマンツーマンで対応してきた。そのため、日本は武器としている左サイドからの攻撃がままならなくなってしまった。さらに、先制点を入れた後は守備ブロックをガッチリ敷き、ゴール前はほとんど隙のない状態になっていた。 今回の敗戦に関しては、2失点もさることながら、コンフェデレーションズカップでのブラジル戦以来、9試合ぶりに無得点に終わったことで、引いた相手に対する攻撃という課題が、改めて浮き彫りになったと言える。
これまでの攻撃が機能しなかった
長身選手が守備ラインに並んでいるのはW杯レベルならごく当たり前のことであり、先制された後にブロックを敷かれることも短期決戦ではセオリーだ。この壁を越えなければ、W杯で上位には行けない。 かつての日本代表はアジアレベルの戦いでこの壁に苦しんでいたが、ザックジャパンになってからは、少なくともアジアの戦いではこの課題はほぼ克服できていた。 W杯アジア予選を突破した後に向かったコンフェデレーションズカップでは、相手が明らかに引いてくるという状況がなく、8月のウルグアイ戦では守備の崩壊に目が行っていた。 ところが今回は攻撃が機能していなかった。アジアレベルならかき消されていた課題が、セルビア戦で浮かび上がったのだ。
「カウンター」という戦い方
守備だけなく、今度は長所であったはずの攻撃面でも……と悲観的になる必要はない。選手たちはセルビア戦で新たなヒントを得ていた。 岡崎慎司(マインツ)にとっては、セルビアが2点目を取ったシーンが、元々考えていたことを強調する材料になったという。 「セルビアは、あのカウンターを簡単に決めてきた。そこが自分たちとは違う。セルビアくらいのレベルになると、相手が整った状態で点を入れることよりも、ボールを奪ったあとにスピーディーに攻撃を仕掛けることが必要になってくる。相手が整った状態でのサッカーも大事だが、90分間の中ではそうじゃないときのサッカーも必要になる」 つまり、「ボールを奪ったあとの速攻が必要になる」(岡崎)ということだ。