ザックJがセルビア戦で得たヒント
カウンターで柿谷を使う
しっかりとボールを保持したうえで、パスを回しながら攻撃を仕掛けていくのがザックジャパンの戦術であり、練習でも、試合でも、今はその道を突き進んでいる。しかし、ポゼッションサッカー一辺倒では通用しないレベルの戦いでどうすべきかを、岡崎は言っているのだ。 岡崎にこの考えが浮かんだのはもう一つ、別の理由がある。それは、柿谷曜一朗(セレッソ大阪)の存在だ。 8月のウルグアイ戦で欧州組と顔合わせしたときから、本田圭佑(CSKAモスクワ)がべた褒めしていることに象徴されるように、柿谷にはザックジャパンの中心選手たちが心地よく感じるリズムやフィーリングがある。 岡崎は「日本は今はパスを回しているが、今度は逆にもっと少人数のところにパスを出すということが有効になる」と力説する。 「曜一朗はシュートに持って行く力があるし、僕も裏に抜けるプレーは得意。そういうところを狙っていけば、カウンターを受ける危険性が少ないというメリットもある」
ポゼッションとカウンター、4バックと3バック
すでにW杯欧州予選敗退の決まっているセルビアだが、「個々のタレントを見れば日本より上」(長友)だった。加えて、個の力だけではなく、組織としても相当な強さがあるということは、戦う前からの日本選手共通の認識。アウェイであることも加味すれば、0-2という結果は、ある意味ありえなくはなかった。 とはいえ、仮にセルビアがW杯に出場していれば、10年W杯ならデンマークと同等の位置レベルだ。つまり、こういうレベルの国に勝てるようでなければ決勝トーナメントに進出することもできないのである。 ザッケローニ監督から「DFラインとの駆け引きで能力を見せており、一発の力がある」と評されている柿谷は、「セルビア戦ではボールを回させられているという感もあったが、それでもやっぱり、日本は技術でしっかり回していかないといけない」と言っていた。 ポゼッションとカウンターの両立。それは、4バックと3バックの両立と同様の重要な課題になっていくだろう。 (文責・矢内由美子/スポーツライター)