金利上昇でも日本の不動産は「買い」、ブラックストーン不動産部門・橘田代表に聞く
――他方で、ブラックストーンが運用するアメリカのREITは、一時は換金制限がかかるほど、投資家からの解約請求があると報じられました。 現地メディアはフローばかりを取り上げているが、最終的に重要なのはパフォーマンスだ。われわれのアメリカのプライベート不動産戦略は、2017年の導入以来、上場REITの2倍の年率リターンを実現している。REITの買い戻し請求についても完済した。投資家への長期的な価値を最大化しながら最大限の流動性をもたらすという目的を、立ち上げの当初から意図していた通りに果たしている。
CREに関してネガティブな報道もあるが、2022年以降200億ドル(約3兆円)を超える物件の売却も行えるなど、われわれのポートフォリオには強みがある。マーケットが軟調な中でも、この売却から40億ドル(約6000億円)を超える利益を出すことができた。 不動産価格は底を打ったと思われるが、何より重要なのはどこに投資するかだ。4月に訪れたサンフランシスコではオフィスに人が戻り始め、売買事例も少しずつ出てきている。もちろん、回復度合いは物件ごとに濃淡がある。ニューヨークの場合、多くの金融機関が集まる42~50番街のオフィスなら、空室率は10%前後。スタートアップやIT企業が集積する数字の小さい街区は、20%程度といった具合だ。学生寮やデータセンターなど、ポテンシャルのある物件にも投資していく。
一井 純 :東洋経済 記者