トランプ新政権でインフレ再燃リスク FRB12月議事要旨
米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、0・25%の追加利下げを決めた昨年12月会合の議事要旨を発表した。トランプ次期米大統領の掲げる関税引き上げや移民の取り締まり強化などが、物価上昇(インフレ)を再燃させるリスクがあると多くの参加者が懸念。1月以降、利下げペースを緩めるのが適当との見方を示していた。 議事要旨によると、ほぼ全ての参加者が「先行きインフレの上振れリスクが高まった」と判断。「最近のインフレ率が予想を上回っているのに加え、貿易と移民政策の変更が影響する可能性」が理由に挙げられており、20日に発足するトランプ新政権を警戒する様子が浮き彫りになった。 多くの参加者は「今後、金融政策の決定に慎重なアプローチが必要であると裏付けるさまざまな要因がある」と指摘。これまでの利下げ効果と今後のインフレ再燃リスクを勘案し、「金融緩和のペースを緩めるのが適切となる地点、またはその近くにいる」と示唆する参加者もいた。 FRBはインフレ沈静化にめどがついたとして12月会合まで3会合連続で利下げを実施した。ただ、足元では米経済が底堅く、新政権発足後のインフレ再燃のリスクも高まり、市場ではFRBが28、29日の次回会合で4会合ぶりに利下げを見送るとの見方が強まっている。【ワシントン大久保渉】