日本バスケ界の危機。渡邊雄太「責任をもってこの問題に向き合っていく」
日本バスケットボール界が危機的状況に陥り、渡邊雄太が動いた。NBAレイカーズの八村塁が男子日本代表のトム・ホーバス監督の手腕に苦言を呈した騒動を受け、ふたりの関係修復に向けて間を取り持つ意志を表明。日本代表を強くするために、非常事態に正面から向き合う姿勢を見せた。
「八村選手とホーバス監督の関係性がよくなかったという事実はあります」
黙っていられなかった。 騒動勃発から15日後の2024年11月28日。都内で開催されたBリーグのイベント後、渡邊雄太が報道陣の前で“八村騒動”に言及。前代未聞の事態に発展した経緯や、自身の思いを語りだした。 「もう隠しようがない。八村選手とホーバス監督の関係性がよくなかったという事実はあります」と認め「悪者はひとりもいません」と前置きしたうえで、こう続けた。 「塁がいろいろな発言をした。それ自体はいいとして、ちょっと変な方向に行ってしまっている。憶測が憶測を呼んで、事実と異なることが報道されたり、個人が攻撃されるようなことがある。NBAでやっていてBリーグに帰って来た身として、最初に事実を述べさせていただいて、自分の感情も言わせてもらえればと思います」 渡邊によると、確執の発端は八村不在でパリ五輪切符を勝ち取った2023年夏のW杯後の会見。トム・ホーバス監督が「彼(八村)が(代表で)やりたいなら、彼から声をかけてくるべき。彼が来るなら、うちのバスケットをやらせる。彼には入ってほしいが、やらないなら、このチームでいいチームをつくる。自信があります」と発言したことだった。 突き放されるような言葉を受けた八村が激怒。当時、渡邊は直後に八村と連絡を取り、監督が八村を悪者にする意図はない真意を説明したが「仮にそうだとしても、世間からそう思われる時点であの発言はまずかったのでは」と怒りは収まらなかったという。 その後もふたりのコミュニケーション不足は続く。八村の所属する代理人事務所・ワッサーマンはNBAに集中させるため、八村とホーバス監督が直接連絡する手段を遮断。ふたりの意志伝達には日本バスケットボール協会(JBA)と代理人が間に入ることになった。 同じ事務所に所属する渡邊は、クライアントを大切に扱う事務所に理解を示しつつ「いいコミュニケーションが取れるわけがない」と指摘。八村がパリ五輪前の2024年7月下旬に日本代表に合流した後も、溝は深まっていった。 7月下旬の韓国代表との強化試合。八村はコンディション調整期間のため早い段階で欠場の意志を示していたが、メンバーから外れることが発表されたのは試合当日。結果的に客寄せパンダ的な扱いを受け、八村の不信感は増大した。