自動車メーカー大再編で「脱炭素イデオロギー闘争」が始まった! ホンダ&日産EV連合に三菱も合流!
■世界的に大逆風の"EVシフト" 現在、EVには逆風が吹き荒れている。テスラは販売鈍化に苦しみ、世界最大のEV市場と呼ばれる中国も"EV墓場"や、激化の一途をたどる"EV限界値下げバトル"の対応に苦慮。さらに韓国では今月になってEV火災が相次いでおり、EVに対する安全面の懸念が広がっている。 今回、3社がEVに全振りするかのような報道も目立つが、実は3社内部からは今回の発表はあくまで未来戦略であり、ただちに"EV一本足打法"になるわけではないとくぎを刺す声も。いったいどうなっているのか? 自動車誌の元幹部が解説する。 「日産は今年5月に25年から生産を予定していたEVセダン2車種の開発を延期しました。北米でのEV販売の伸びが鈍化しているためです。ただし、中長期的に見た場合、EVの普及は"鉄板"という見方もありますから、3社は協力し、より高性能で低価格のEVを開発しておこうという話です。 さらに言うと、3社はクルマの相互補完も視野に入れています。例えばの話ですが、三菱の伝家の宝刀であるPHEV(プラグインハイブリッド)をホンダと日産へ、ホンダ独自のハイブリッド技術であるe:HEV(イーエイチイーブイ)を日産と三菱に供給する可能性も」 つまり、明るい未来を手にするため、助け合い、支え合うという話だ。 気になるのは今後。トヨタ系はエンジンの可能性を捨てていない。一方、ホンダは脱エンジンを明言している。このバッチバチの脱炭素イデオロギー闘争の行方はどうなる? 「確かに全方位戦略とEV原理主義ではイデオロギーが大きく異なります。ただし、EVに限れば全方位を掲げるトヨタ系も粛々とEVの開発を進めている。3社の動きをダシにトヨタ系がEVに後ろ向きというレッテルを貼るのは違うかと。 何より注視すべきはルールを作る欧米の動き。脱炭素カーのレギュレーションがどう転んでも対応できるよう準備するのが重要です」 そのとおりだろう。ただし、国内の自動車メーカー各社には、下請けいじめや認証不正により失った信頼の回復も忘れないようにお願いしたい。 取材・文・撮影/週プレ自動車班 写真/時事通信社