自動車メーカー大再編で「脱炭素イデオロギー闘争」が始まった! ホンダ&日産EV連合に三菱も合流!
この背景を取材すると、今年3月に発覚した下請けいじめの影響を挙げる専門家が多かった。大手メディアは、《ホンダと日産の協業に三菱参画!》《3社は出遅れたEVを挽回せよ!》という具合にあおりにあおっていたが、世間は日産の不祥事を忘れていないのだ。 ホンダにしても行政処分は見送られたものの、22車種(累計販売台数325万台)の認証不正をやらかしている。そんな大企業同士の協業に対し、当然、世の反応は鈍い。だから、《弱者連合》とか《協業は不祥事の目くらまし》などとイジられているのだ。 ■EVシフトに突き進むホンダ ご存じのようにホンダは、すでに"脱エンジン"を掲げている。具体的には2040年までにハイブリッドを含む内燃機関車の販売をやめるという。今年3月には東京・青山にあるホンダ本社で今後のアイコンとなる新型EV、ゼロシリーズのサルーンなどを公開して話題を呼んだ。来年にはソニーグループとコラボした高級EV「アフィーラ」を発売予定だ。 一方、日産は10年に世界初の量販EVリーフを市場に投入したパイオニアだ。しかし、現実はかくも厳しい。現在、EV市場のトップランナーはEV専売の米テスラと中国BYDだ。この2社がデッドヒートを繰り広げており、EVのパイオニアである日産は市場をリードするどころか、完全に蚊帳の外。8月1日の会見でホンダの三部敏宏社長はこう述べている。 「先行する新興メーカー(テスラやBYD)は圧倒的に開発のスピードが速いので、スピード感をもって彼らをとらえ、リードしていくような形に持っていきたい。まだ試合は始まったばかりなので、十分戦えると思っている。(協業は)スケールメリットもあるし、開発費の効果もある」 今回の協業で3社はEVに使う車載ソフトや部品(駆動装置や基幹部品など)を共通化するという。言うまでもないが、開発費などのコストを削減しながら、競争力を高めるのが狙い。ここに三菱が参画するわけだ。確かに頭数が多いほどコストは下げられる。ならば、いっそ資本提携したほうがメリットが大きいと思うが、三部社長は会見でこう語った。 「現時点で資本関係の話はしておりません。ただ、可能性としては否定するものではない」 ちなみに3社の協業の成果が出るのは30年頃。 「研究がうまくいけば、30年より手前に出したい」(三部社長)