【有馬記念】戸崎圭 レガレイラとの初タッグで掴んだ10年ぶり制覇 不惑迎え違う景色も“貴婦人からのプレゼント”に歓喜
「有馬記念・G1」(22日、中山) ファン投票1位のドウデュースが決戦2日前に出走取消。一気に混戦模様となった今年のグランプリを制したのは5番人気のレガレイラだ。シャフリヤールとの壮絶なたたき合いを約18センチ差で制し、1960年のスターロツチ以来、64年ぶり史上2頭目となる3歳牝馬Vを飾った。3着には2番人気のダノンデサイルが逃げ粘り、1番人気の支持を受けたアーバンシックは6着に敗れた。 強い風が吹きつけた中山競馬場。3歳牝馬レガレイラと、歴戦のダービー馬シャフリヤールの同じ勝負服をまとった2頭が、鼻面をそろえてゴールに飛び込む。軍配が上がったのは、約18センチ差で戸崎圭が手綱を取ったレガレイラ。64年ぶりとなる3歳牝馬の勝利という偉業達成の瞬間だった。「全く分かりませんでした」。ゴール後すぐに勝利を確信できなかった殊勲の鞍上。引き揚げてから周囲に声を掛けられると、「ホント!?」と両手を広げて喜んだ。 レースでは初タッグ。ゲート裏までしっかりと馬の声を聞きながら臨んだ。スタートはやや遅れたが、二の脚がついて好位へ。逃げ&番手で進めた横山親子を射程に入れながらの追走となった。スローペースでもピタリと折り合い、手応え十分に直線へ。ラストはデッドヒートになったが、最後の最後まで譲らなかった。「道もスムーズにあいてくれましたし、あとは伸びるだけ。接戦になったけど鼻差出てくれたのはレガレイラの力だと思います」。汗を拭い、充実の表情を浮かべた。 年末のグランプリは14年ジェンティルドンナ以来、10年ぶりの制覇。不惑を迎えた今、当時とは違う景色だったという。「10年前はリーディングでしたが、G1勝ちはありませんでした。自分の中でもそういう思いを持っての勝利でした。ホッとしましたね。ジェンティルドンナからプレゼントされたな、と」。がむしゃらに戦っていたあの時をそう振り返り、「今は体と相談して、いい感触を得ながら乗れています。かみしめるうれしさ。そういうものがありますね」と静かに喜んだ。 11月末、同じ釜の飯を食べてしのぎを削った南関東所属の森泰斗騎手が引退。地方競馬教養センター騎手課程の同期で現役を続けているのは、自身を含めてわずか2人になった。「同期にはいつも声を掛けてもらっていますし、力になっています。一人一人、いろんな道に行っていますが、まだまだ僕は頑張れると思っています」。28日のホープフルSは2戦2勝のマスカレードボールがスタンバイ。高みを目指し続ける44歳の歩みは止まらない。