プロデューサー・富山省吾が語るゴジラと「平成・VSシリーズ」の世界
――富山さんが初めて制作に参加された「ゴジラVSビオランテ」から、シリーズ最終編の「ゴジラVSデストロイア」が一挙放送されます。各作品について詳しくお聞かせください。 「『ゴジラVSビオランテ』は、公募ストーリーから選ばれた小林晋一郎さんの原案をもとに、3年余の準備期間を掛けてできた作品です。田中プロデューサーの“スタッフを一新して、これまでと違うゴジラ映画を作る”という思いが実ったものとして、時とともに評価が上がっているのですね。当時、自衛隊の全面協力で撮影をしたのですが、デジタル視覚効果の走りなど見どころも多く、伊福部さんが手掛けた『ゴジラのテーマ』と、すぎやまこういちさんによる音楽の融合はぜひ聞いてほしいです」 ――シリーズ2作目「ゴジラVSキングギドラ」(91年)は建設されたばかりの東京都庁周辺を舞台にゴジラとキングギドラが戦うことで、当時話題になったと聞きました。 「そうですね。ゴジラの対戦相手に最強のキングギドラを迎えて『平成・VSシリーズ』の人気が定着したのが本作です。キングギドラを、宇宙怪獣から未来人が生み出した怪獣に設定を変更し、さらには戦うヒロイン、中川安奈さん扮(ふん)するエミー・カノーが操縦するメカ怪獣へと変身させてゴジラとの最強決定バトルを展開したのです! 大森一樹監督のスピーディーな演出と川北特撮監督の力業が、東京都庁大破壊と相まってファンを熱狂させました。トップシーンの空飛ぶ円盤に始まり、コジラ誕生秘話や人工知能アンドロイドの活躍などSF色に加えて、人気外国人タレントの熱演も楽しい作品です」 ――そんな中、シリーズ3作目の「ゴジラVSモスラ」(92年)は「平成・VSシリーズ」で最大動員数を記録しましたね。 「『ゴジラVSモスラ』から、監督が大河原孝夫さんにバトンタッチされました。自然と女性の象徴である巨大蛾(ガ)・モスラ。新怪獣バトラも登場しての三つどもえの戦いが、高層ビルの夜景が美しい横浜みなとみらいで繰り広げられ、実写・特撮・アニメが融合した川北さんのけれん味が開花した空中バトルと熱線ショーは名場面で、今でも鮮明に覚えています。また、モスラの歌とその自己犠牲のメッセージも強く、子どものファンの心を捉え、小林聡美さんやモスラファンの田中好子さんなど女性キャストも輝いた作品です。おっしゃる通り、ゴジラとモスラといった二大スター怪獣共演によって『平成・VSシリーズ』最高観客動員を記録したのですが、この話を聞いた時はうれしかったですね」