中国語放送問題、会長ら異例処分 NHK、担当理事は引責辞任
NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍の外部スタッフが、沖縄県・尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題で、NHKの稲葉延雄会長らが10日記者会見し、国際放送担当の傍田賢治理事が責任を取って同日付で辞任すると発表した。稲葉会長や井上樹彦副会長ら役員4人は月額報酬50%を1カ月、自主返納する。 関連会社と業務委託契約を結んでいた外部スタッフによる不祥事で、責任がNHK会長にまで及ぶのは異例。役員の引責辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した2008年以来。 役員の他、国際放送局長ら5人を減給などの懲戒処分とした。外部スタッフの男性(48)には、NHKの信用を著しく低下させたとして1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。 稲葉会長は「『放送の乗っ取り』ともいえる深刻な事態。改めておわび申し上げる」と謝罪。世界情勢の安保上の観点から「危機意識が高まってしかるべきだったが、ラジオ国際放送の現場では緊張感が欠けていた」と述べた。