理研の松本紘新理事長が就任会見「信頼を取り戻すべく社会に貢献」
理化学研究所(理研)の松本紘(ひろし)新理事長が1日、都内で就任会見を行った。松本氏は、STAP細胞問題で失った理研への信頼を取り戻すべく、研究成果を社会に還元して「豊かな国民生活の実現に寄与していきたい」と語った。 【動画】会見の模様
松本新理事長は、先月末で退任した野依良治氏の後任として就任。専門は宇宙プラズマ物理学などで、京都大学の超高層電波研究センターで長く研究を行い、同センター長や同大学生存圏研究所長などを歴任。2008年10月から2014年9月まで京都大学総長を務めた。京大総長時代には、さまざまな大学改革を実行してきた。 会見では「理研はここのところ、STAP問題への対応に追われた。各界の意見に基づき作成したアクションプランを継承し、しっかり実効性、継続性を持ってやっていく。研究不正を行わない高い規範と倫理意識を持って、信頼を取り戻すべく、豊かな国民生活の実現に寄与していきたい」と語った。論文を出すだけではなく、研究成果が社会にポジティブな影響を与えることが大事だと強調した。 小保方氏については「レポートやモニタリング委の情報に基づいてしか言えないが、研究者としての基本的なリテラシーが足りなかったとされるが、その通りだと思う」と評した。 研究不正の予防には「研究者自身が自律性を持ち、自己管理しないといけないのは大前提。研究倫理の講習などをしていきたい。また、何重にも不正が出ないような仕組みづくりが大事だ」と語った。一方で、「研究者の自由な発想がなくなれば、第一線の研究成果は出ない」として、ギュウギュウに縛りつけて研究者を萎縮させてはいけないとの見方を示した。