階段をよじ登る“赤と黒の小さな虫”レンヌ【ワールドサッカーダイジェストのザ・ジャーナリスティック】
買収から20年以上辛抱して48シーズンぶりとなる戴冠
昨シーズンのフランス・カップ優勝は、ピノー(右)がレンヌを買収して以降で初タイトル。息子(左)とともに歓喜に酔いしれた。(C) Getty Images
打ち切りとなったリーグ・アンで過去最高位となる3位に入り、クラブ史上初めてCLに参戦するレンヌ。そっと寄り添う欧州屈指の富裕オーナーの下で、“赤と黒の小さな虫”はトップへの階段をさらによじ登れるか。(文:フランソワ・ヴェルドネ/訳:結城麻里 2020年7月2日発売ワールドサッカーダイジェスト『ザ・ジャーナリスティック フランス』を転載) ―――◆―――◆――― フランソワ・ピノーとその一族が築き上げた巨大企業体のなかでは、サッカークラブのレンヌなど祭りの紙吹雪のごとき存在だ。彼らの宇宙では、超高級品の衣服や宝飾品がわんさと渦巻いており、サッカーボールなどその片隅でくるくる周回する極小の惑星にすぎない。 今年8月で84歳となり、総資産が270億ユーロ(約3兆3750億円)を超えるフランス3位の億万長者であるピノーが、あたかも天から降ってくるかのようにフットボール界に
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