低所得層の基準は“年収1500万円以下”。シリコンバレーにはなぜ成功者が多いのか?
なぜシリコンバレーには成功者が多いのか
もう一つ、シリコンバレーで働いていると、「成功したときの金額の大きさ」が日本とは桁(けた)違いであることを実感します。周辺には年収1億円くらい稼ぐ人はざらにいるという状況で、2億~3億円くらい稼ぐことも、さほど特別なことだというイメージはありません。 コロナ禍の中、シリコンバレーでも低所得層を対象として補助金などが出たのですが、ここでいう「低所得層」の基準は「年収1500万円以下」でした。 シリコンバレー、特にテックカンパニーやIT関連のスタートアップ、ベンチャーキャピタルに属する人々の感覚としては、10億~100億円という単位で稼ぐくらいにならなければ「すごい」とは言われないのではないかと思います。 日本から見れば桁違いの「成功者」がゴロゴロいるのは、周囲にそういった人が多い環境にいれば、自分もそれを求める気持ちが高まるからでしょう。その意味では、シリコンバレーのコミュニティは成功者を生みやすいといえそうです。 このような話をすると「金持ち自慢か」と思う人もいるかもしれません。しかしシリコンバレーで暮らしていると、稼いだ金額が大きいからといって尊敬を集められるわけではないということもわかります。 この地域では「どのような価値観を持ち、どのように創造的価値を生み出し、どのように社会に貢献しているか」が重視されており、「世界を一歩でも、よい方向に進めること」によってこそ尊敬を得られるのだと私は感じています。 「世界を一歩でも、よい方向に進めること」ができている人が、結果として大きく稼いでいるというのがリアルなシリコンバレーのありようであり、「社会への貢献」と「金額で評価される成功」との間には強い相関関係があるのだということが示されているように思います。