設立1年でユニコーン企業に、元アドビCTOが設立したスタートアップTypefaceが注目される理由
Typeface、ビジュアル面での強み
ビジュアルコンテンツの生成が簡単である点もTypefaceの特徴といえるだろう。 ブログ、マーケティングキャンペーンなどでは、ビジュアルコンテンツが消費者の目を引く重要な要素となるが、Typefaceには画像生成機能が組み込まれており、各コンテンツに合わせてプロダクト画像を簡単に変更することが可能だ。 iPhone15の画像を使って実験してみたい。まずアップルウェブサイト上でiPhone15の画像をJEPGとして保存し、それを基本プロダクト画像としてTypefaceに読み込ませる。その際、Typefaceは画像の背景のみを自動で削除してくれる。
このプロダクトをどのように表現したいのかをプロンプトに入力すると、Typefaceは4つの画像の生成してくれる。ここでは、1回目の試行として「大理石のテーブル」「東京の夜」などのワードをプロンプトに入力したところ、以下のような画像が生成された。ブログであれば十分に使える水準の画像といえるだろう。
2回目試行では「宇宙」「木星」などのワードを利用してみた。以下の画像が生成された。
画像生成はChatGPTでも可能となったが、マーケティング向けの高品質な画像を生成するには複数回試行する必要がある。それを踏まえると、シンプルなプロンプトで、この水準の画像を簡単に生成できる点は特筆に値する。 Typefaceは自社で大規模言語モデルを開発するのではなく、既存の大規模言語モデルを顧客のマーケティングアセットに基づいて再トレーニングすることで大規模言語モデルをマーケティング向けにカスタマイズするアプローチをとっている。生成される画像品質から同社がこの再トレーニングにおける技術に長けていることが見て取れる。このビジュアル面における強みが市場シェア拡大に寄与することは間違いないだろう。
文:細谷元(Livit)