「大暴落」からの「史上最高値」を達成した日本の株式市場、荒れるマーケットに「一般人」はどう立ち向かえばよいのか
これまで2回に渡り、石破政権の日本市場や経済、そして今後トランプ氏が舵をとるアメリカについて、なかのアセットマネジメント(https://nakano-am.co.jp/)代表の中野晴啓さんにお話を伺ってきました。最終回となる3回目では、2024年の株式市場の振り返りと、2025年の展望、そして今後一般投資家が何をすればいいのかとお聞きしていきます。(2024年11月7日取材、11月末中野さん追記) 【マンガ】iPhoneが発表された日にアップル株を「100万円」買っていたら 前回記事<じつは「二極化」がすすむ…「トランプラリー」に沸く株式市場にひそむ「大きなリスク」>より続く。
アメリカ経済が成長していく前提にたった値動き
インタビュアー川崎さちえ(以下、川崎):2024年の日本市場では、日経平均株価が史上最高の4万2,224円2銭をつけました。順調に見えた日本市場ですが、8月の大暴落は強烈なインパクトを残したのではないでしょうか。大きな動きを見せた2024年の日本の株式市場、そして堅調な上昇を見せてきたアメリカ市場ですが、中野さんはどう振り返りますか?まずはアメリカ市場から教えてください。 なかのアセットマネジメント代表 中野晴啓さん(以下、中野さん):2024年11月末の時点で振り返ると、結果としてアメリカ市場は最高値を更新して、強さを見せつけた形になりました。ただ、最高値!と注目されていますが、実際に何をもって最高値なのか根拠が見えてきません。背景にはアメリカ経済は落ち込むことなく安定して成長していくことがあるのでしょうが、安定とは言えないと私は考えます。 アメリカには世界的に見ても強い会社はあります。GAFAM(ガーファム)と呼ばれる企業もそうですよね。でもそのような企業に集中してしまっているのは不安要素になると思います。(詳しくは2回目記事参照) 今までは高い成長率を残してきましたが、これが永遠に続くわけではないでしょう。でもマーケットはずっとこの成長率が続くことを前提として動いているように思います。だから最高値をつけたりするのですが、いずれ頭打ちになります。そうなった時、次にGAFAMのような企業が出てくればいいのですが。 川崎:そのような企業はないのでしょうか? 中野さん:今後出てくる可能性はありますが、今はそれが見えてきていません。もしアメリカ経済を牽引するような企業が出てこなかったら、アメリカの利益成長率は鈍ってしまいます。となれば、今のアメリカの株価は正当化できなくなりますよね。今はアメリカ経済の未来は明るいとされていますが、少々楽観的すぎるのではないかと私は感じています。 川崎:もしかしたらインフレが再び起きるかもしれませんしね。 中野さん:今後トランプ大統領が就任して関税の引き上げや国内の減税、移民の排斥などの政策が進めば、インフレの可能性が高まります。そうなると今の株価の修正が起きるのは必然とも言えますね。つまり、マーケットが荒れるということです。