長岡望悠、石井優希が躍動 女子バレー「久光製薬」5連覇
負けたら終わりの一発勝負。初戦の相手は上尾だった。上尾と言えば、3連覇を達成した一昨年の天皇杯・皇后杯の準々決勝で対戦し、0-2からかろうじて逆転勝ちした相手であり、10月に国体の決勝で敗れていた。 課題とするスタート(試合の入り)は「早くチームのリズムが作れるようにスタートから気持ちを入れていこうとみんなで話していた」(新鍋理沙)との言葉通り、第1セットをいい形で先取したが、第2セットを逆転で奪われると「苦しい戦いになると思っていた」との予想通り、取りつ取られつで勝負はファイナルセットに。 その第5セットは新鍋理沙、長岡望悠、今季新加入のミドルブロッカー・トカルスカらが得点を重ね、15-15の場面では石井優希がきっちりと決め、最後は相手のミスで勝ちきったが、納得のいかない内容にみな言葉は重く、「負けてはいけない試合でプレッシャーがあったが、まだまだできるし物足りない」と、キャプテンの長岡望悠。ふがいなさからか、試合後には涙を流したという。 続く準々決勝のPFU戦は第1セットこそ24-24ともつれたが、そのデュースの場面で前日から気持ちを切り替えた長岡望悠が2本連続で決めて振り切ると、そのまま流れを渡さずにストレート勝ちし、準決勝に駒を進めた。
「ディフェンスの久光」でつなぎ、最後はエースに
準決勝の相手はNEC。NECとは直前の12月3日に対戦しフルセットで敗れていた。NECは粘りが身上の「全員バレー」。しかしこの日の久光製薬にはそのNECにも負けない粘りがあった。ディグが上がる。軟攻をしかけてこられても、つないだ。 勝ちパターンに出るブロックの本数は多くなく、最大の武器である攻撃の決定率、効果率もよくなかったが、数字に表れない大事な「支え」のつなぎや、ブロックでしつこくつきタッチを取り抜けたコースをディグし、最後はエースの長岡望悠らアタッカー陣につなぐブロックとレシーブの関係が機能した。 「長岡に勝負どころで決められた。最後まで長岡を止められなかった」とNEC山田晃豊監督は話したが、その長岡望悠の1点1点を支えたのは新鍋理沙、石井優希、リベロの筒井さやか、戸江真奈らを中心としたディフェンス。それがあってこそ。 「ディフェンス」と「つなぎ」(ブロックとディフェンスの関係の強化)はサーブ&ブロックや攻撃力が強みの久光に、酒井新悟監督が加えたいプラスアルファーである。 「ディフェンスがよかった。ブロックが少なく、スパイク決定率が悪くてもブロックフォローやつないだラリーの中から最後、長岡(望悠)らがしっかり点数を取ってくれたのが勝因」と酒井新悟監督も満足そうに話した。 「ブロックとディフェンスの関係がしっかりできていたので、NECに負けない粘り強さが出た。私が前衛のときには新鍋(理沙)選手がディフェンスをすごく頑張ってつないでくれるので、私も後衛のときに『もっと頑張りたいつなげたい』って思います。この大会に入って調子も上がってきていてディグも楽しめています。きょうはいつもよりはディフェンスの面でも反応できたと思います」と石井優希も手応えを感じていた。