米価上昇「消費者も分かってほしい」農家と業者の新米取引の実情 広島のコメ産地で取材
いったい、どこへいくらでコメを売るつもりでしょうか? 藤原博巳 代表 「ことしの新米のコシヒカリです。もう1万円ちょっと超えた金額になっていますね」 交渉相手は県東部の集荷業者でした。 藤原博巳 代表 「(令和)5年産のおコメがないなっていう状況下の中で、1万円を超えた値段で買うから集めてくれないかって話をいただきまして、だんだんだんだん変な言い方、エスカレートしちゃって値段がね」 RCCの取材に対し、業者は「このコメは県内を中心に岡山や大阪の米穀店に販売する」「11月分くらいまでを確保したい」と話していました。 コシヒカリよりもっと高い値がついていたのはミルキークイーンでした。 藤原博巳 代表 「1万1000円とかそういう金額になると思います。在庫がない関係でお米屋さんもできるだけ(令和)6年産の新米が早くほしいということで」 交渉相手は、藤原さんと長年、取り引きのある県北部の米穀店でした。1万1000円は去年より2500円ほど高いとのことです。 取材に対し、米穀店は「このミルキークイーンはこだわりのコメとして、去年、5キロ3500円で販売したが、ことしは4000円ほどで販売するつもりだ」と話していました。 業者がつり上げたようにも思える取り引き価格ですが、藤原さん自身も30キロ1万円を適正価格だと思っています。 藤原博巳 代表 「肥料にしても農薬にしても農機具にしても燃料代にしても電気代にしても然りですね。生産費が上がっている中で、農家さんはすごくたいへんな思いをされていますので。ぼくが思っているのがコシヒカリで1万円。その値段であれば経営として利益が出るラインには届くと思います」 後継者を確保するためにも利益を出す必要があるといいます。 藤原さんが就農したのは40年前。その当時のコメの価格が30キロ1万円だったそうです。 その後、米価が下落する中地区内外で農業をやめる人が続出。90ヘクタールの栽培面積のほとんどは、作り手のいない田んぼを預かったものです。
藤原博巳 代表 「あと5年したら、ずい分の方がリタイアされる。そうするともうおコメが足りない時代ってもう、すぐ目の前に来ているんですよね。おコメの値段はこれでまあ、農家さん、これで成り立つですよっていうのを、やっぱり消費者の方にも分かってほしいと思っています」 藤原さんは30キロ1万円になると、店頭の販売価格は去年の5割増になるのではとみています。消費者の理解を得るためには農場の見学にも来てほしいと言う藤原さん。今が農業生き残りの正念場と考えています。
中国放送