インフレ巡る米FRBの政策議論、物品価格の先行きが焦点の一つに
(ブルームバーグ): インフレ抑制の闘いで最後の1マイルを見据える米金融当局者にとって、物品価格の伸び鈍化が続くかどうかが政策論議の焦点の一つとなっている。
衣料品や中古車などの価格鈍化が2023年後半に予想よりも急速なインフレ減速の原動力の一つとなり、その後、価格鈍化のペースが鈍ったことが24年の最初の数カ月にインフレ率が予想を上回って推移する一因となってきた。
新型コロナウイルス禍の影響や戦争に絡んだ混乱からのサプライチェーン修復が完全に進んだかどうかで、当局者の見通しは分かれている。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は14日、サプライチェーンのさらなる改善がインフレ鈍化につながる可能性があると指摘した一方、当局者の一部は懐疑的と見受けられる。
BMOキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「インフレ見通しで真の不確定要素は方程式の物品サイドだ」とし、「それにより金融当局は慎重な姿勢を維持するだろう」との考えを示した。
米金融当局は5月1日までの2日間の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、主要政策金利を23年ぶりの高水準に据え置くことを決めるとともに、1-3月(第1四半期)のインフレ統計が予想を上回ったのを受け、利下げ開始が遅れることを示唆した。
パウエル議長、年内利下げの期待残す-インフレ圧力緩和の確度は低下
22日に公表されたFOMC議事要旨では、「サプライチェーンの改善が過去1年間の物品価格のディスインフレを支えた一方、こうした改善は一段と緩やかなペースになると見込まれ、インフレ抑制の進展が緩慢となる可能性があると参加者はコメントした」とし、物品価格の動向の重要性を裏付けた。
自動車価格
消費者物価指数(CPI)の物品価格のうち、食品とエネルギーを除くコア物品価格は2月に9カ月ぶりの上昇となった。中古車価格の上昇が一因だが、新車および中古車の価格はその後低下しており、供給の増加や高金利に伴う需要低迷を理由にこうした傾向が続くとエコノミストの一部は予想している。