インフレ巡る米FRBの政策議論、物品価格の先行きが焦点の一つに
CPIで大きなウエートを占めるもう一つのカテゴリーは衣料品で、過去3カ月はいずれの月も上昇し、このうち4月は月間ベースで20年6月以来の高い伸びとなった。
このような要因は現在、おおむね正常化したと見受けられる。ニューヨーク連銀のグローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI)は21年終盤に過去最高水準に急上昇後、この1年間は緩和している。
ウォール街では、経済の供給面の改善が進むと同時に需要面の圧力が和らぎ、コア物品価格の鈍化が今後も続く可能性があるとの楽観的な見方が多い。
米金融当局者もこうした傾向が持続する可能性を信じたい考えだ。パウエル議長は14日、「サプライチェーンの最後の部分が正常化し始めた」との認識を表明。ジェファーソンFRB副議長も20日、インフレ抑制に向けて供給面で「さらにどの程度の支え」がありそうかデータを注視すると語った。
しかし、他の当局者はそれほど楽観的ではない。アトランタ連銀のボスティック総裁は21日、もはや「サプライチェーンの問題についてはあまり耳にしていない」と発言。また、クリーブランド連銀のメスター総裁は16日、「昨年に比べれば供給面でインフレ抑制にそれほど助けは得られない公算が大きい」と話していた。
22日公表のFOMC議事要旨によれば、当局者はインフレ上振れリスクにも言及していた。具体的には、「一部の参加者は、地政学的な出来事や他の要因が一段と深刻な供給面のボトルネックないし配送コストの上昇を招き、物価に上昇圧力が加わる可能性を指摘した」としている。
FOMC議事要旨、より長期に高水準での政策金利維持が望ましい
ルネサンス・マクロ・リサーチの米経済調査責任者、ニール・ダッタ氏は今週のリポートで、物品のデフレ傾向にはさらなる持続の余地があると分析。インフレ調整後の販売が弱めだとして衣料品価格が今後数カ月に低下すると見込むとともに、「新車価格のデフレは始まったばかりだ」と論じた。