精神科医がすすめる、節約が必要な老後に「豊かな食生活」を送る方法
食が細くなったからこそ「旬のもの」「土地のもの」を食べよう
八百屋や魚屋の店頭を見ていると、季節を感じることがよくあります。たとえばタケノコ。ゆでたタケノコはいつでも食卓にあるようですが、土のついた掘りたてのタケノコは、春たけなわの頃だけに楽しめる味。カツオやサンマが店頭に並ぶと、いかにも旬到来とワクワクします。 食べ物は、できるだけ旬のものを選んで食べたいもの――。年をとってからはなおさらです。なぜなら野菜であれば、旬のものと季節はずれの野菜では、同じ量を食べたとしても栄養価が大きく違うのです。ホウレン草を例にとると、旬とそうでないものでは、栄養価は倍以上の差があるそうです。 また、夏場が旬の野菜は、あっさりした食感や体を冷やす作用のあるものが多く、反対に冬の野菜は体を温める効果がある根菜類が多くなるなど、旬の食材は季節の変化にともない、その季節の体が欲する効果を持っています。だからこそ体も心も満たされ、おいしいと感じるのでしょう。 これに加えて、それぞれの土地で採れた食材を食べることも大切にしたいと思います。「身土不二」という言葉を知っているでしょうか。風土と人間の身体は、分かちがたく結びついているという考え方です。 もとは「身土不二」という仏教用語ですが、その土地の自然に適応した旬の食べ物を食べることで健康に長く生きられるというわけです。この言葉とともに、その土地、その季節の食材や土地に伝えられる「伝統食」は体によい、という考え方が広まっていったといわれています。 私はドライブに行ったときなど、よく「道の駅」をのぞいて、まだ濡れた土がついているような採れたての地元野菜を買ってくることが多くあります。プーンと青臭さを放つ野菜は味がよいことはいうまでもなく、エネルギッシュでいかにも元気をもらえそうです。 同じ買うなら、できるだけ旬の、採れたて食材にしてください。食が細くなってそんなに量が食べられなくなっているわけですし、栄養価まで考えると、このほうが経済的にもずっとトクなはずです。