「独立」「編入」「拡散」…… 世界を揺るがせた2014年重大ニュース
《第3位》イスラム国「独立宣言」
6月29日、イスラム過激派「イラク・レバントのイスラム国」は「イスラム国」(IS)に改称し、イラク北部からシリア西部にかけての一帯で、独立を宣言しました。 ISを率いるアル・バグダディ容疑者はアル・カイダ出身で、2010年ごろからイラクで活動していました。しかし、アル・カイダ主流派と路線をめぐって対立し、これから分裂。内戦下のシリアにも越境し、シリア政府軍だけでなく、他のアル・カイダ系組織とも軍事衝突を繰り返しながら、シリア西部、さらにイラク北部一帯を制圧したのです。 異教徒や従わない者を処刑するといった蛮行を繰り返すISに対して、米国は8月8日からイラク北部で、9月23日からはシリアでも空爆を開始。ヨーロッパ各国やサウジアラビアなど穏健派イスラム諸国だけでなく、米国と対立するイランやシリアも個別に空爆を行っており、ISは各国の立場を超えた脅威と捉えられるに至っています。さらに、12月15日には、空爆に参加しているオーストラリアで、イスラム国に感化されたとみられる若者が人質事件を起こすなど、その影響は広がりをみせています。
《第4位》エボラ出血熱の拡散
8月8日、WHO(世界保健機関)は西アフリカで感染が広がるエボラ出血熱に関して、「国際的な公衆衛生上の非常事態」を宣言しました。感染が都市部で広がったため、人の移動を通じて影響は各国に及びました。WHOによると、12月22日までに死者は世界全体で7,500人を超え、感染者は2万人以上。そのほとんどはギニア、リベリア、シエラレオネの3か国ですが、米国でも1人が死亡しており、スペインでも1人感染者がでました。 感染が広がる背景には、貧困があります。現地では医療設備が乏しいため、医療従事者の感染が深刻で、病院で治療が拒絶されることさえあります。また、8月以降WHOは未承認薬による治療を認めていますが、アフリカという貧困地帯で発生しやすい病気の治療薬の開発に医薬品業界が消極的だったことも、初期対応の遅れにつながりました。 世界レベルでの脅威となったことで、8月以降各国ではワクチン開発も進んでいますが、エボラ出血熱の広がりは、人の移動がグローバル化した現代における、感染症の脅威を再認識させたといえます。