「独立」「編入」「拡散」…… 世界を揺るがせた2014年重大ニュース
2014年は各地で大きな衝突や対立が相次ぎ、国際秩序そのものがきしみ始めた一方、人々がますます鮮明に自らの意思を表明するようになった一年でした。その「5大ニュース」をランキング形式でとりあげることで2014年の国際情勢を振り返り、2015年の世界の潮流を読み解くヒントにしたいと思います。【国際政治学者・六辻彰二】 【図解】「国家」とは何をもって独立なの?
《第1位》ロシアによるクリミア編入
3月18日、ロシアはクリミア半島の編入を決定しました。クリミアはソ連時代の1954年、ロシアからウクライナに譲渡された経緯があり、住民の多くはロシア系です。 ウクライナでは、ロシア寄りの政府に対する親欧米派市民の抗議デモがエスカレートした結果、2月22日にヤヌコーヴィチ大統領(当時)が亡命。首都キエフは無政府状態になりました。そのなかで「ロシア系住民の保護」を名目にロシア軍がクリミア半島に展開し、これと並行してクリミア自治議会は「独立の賛否」を問う住民投票を実施。圧倒的多数の賛成に基づき、クリミアは独立を宣言した後、ロシアに編入されたのです。 この住民投票は国際法的に疑念の余地が大きく、西側先進国はこれを強く批判。ロシアに経済制裁が発動されました。これに対して、ロシアも経済制裁で応酬。その後、東部ドネツクなどでも分離独立を求める動きが活発化した結果、ウクライナ軍との内戦状態になりました。冷戦終結後のヨーロッパにおける最大の危機は、くすぶり続けています。
《第2位》スコットランド住民投票
9月18日、スコットランド独立の賛否を問う住民投票が実施され、英国が分裂するかに世界の関心が集まりました。 スコットランドは1707年にイングランドと合併しました。しかし、独自の文化だけでなく、イングランドとの所得格差などから、スコットランドにはロンドンへの不満が根深くあります。世界金融危機後の経済停滞と社会保障改革への不満を背景に、2011年のスコットランド議会選挙では、分離独立を主張するスコットランド国民党が第一党に躍進。英国政府も、分離独立に関する住民投票を一度だけ実施することを認めざるを得なくなったのです。 スコットランド国民党は、北海油田からの収入で財政的に独立できると強調しました。しかし、通貨ポンドを引き続き使用することに英国政府が難色を示した他、主要産業のウィスキー業界なども反対。結局、住民投票では約55パーセントを獲得した反対派が勝利したのです。ただし、この住民投票はスペインのカタルーニャなど、やはり分離独立を求める地域を触発しており、今後とも同様の事態が発生することが予想されます。