【阪神Women通信】竹内くらら「自分のように病気を持っている方々に力を」プレー続ける理由
女子硬式野球クラブチーム「阪神タイガースWomen」の旬の話題を取り上げる連載の第2回は、6月29日の巨人戦(甲子園)を前に今季加入の新人選手を突撃。高校時代に難病を患った竹内くらら投手(22)は、同じ境遇の人に勇気を与える決意を語った。【取材・構成=波部俊之介】 竹内にはタテジマのユニホームを着た理由がある。 「自分のように病気を持っている方々に力をあげたい。野球を続けることが一番、そういった人たちに伝えやすいのかなと思って、今も続けています」 大阪・履正社高でプレーしていた1年秋。体に異変が起こった。「ドアノブも開けられなくて…」。毎朝行うテストの内容も、なぜか頭に入ってこない。「もうずっと頭が真っ白で」。夜中に何度も病院に行ったが、原因が分からない。40度を超える熱が1週間以上続き、やがて免疫系の異常によって起こる「バセドウ病」、指定難病の「全身性エリテマトーデス(SLE)」と診断された。医師からは激しい運動や直射日光を避けるように厳命された。できることを続け3年春の大会でついに出場を果たしたが、1カ月の入院と副作用で体重は20キロほど増えていた。 今はほぼ症状はないが、薬を飲みながら病気と付き合う。日光をできるだけ避け、練習量も他の選手の約半分に抑えなければならないが、竹内はパワフルだ。実は順天堂大学院のスポーツ健康科学研究科に通う学生。オンライン授業を受け、月2回前後は千葉まで通う。「ゼミはスポーツ医学内科。スポーツと内科系の病気を掛け合わせたり」。経験を生かした学びだ。 症状の原因が分からなかった当初は、周囲の理解を得られず苦しんだ。だからこそ目標がある。「自分と同じような子を増やしたくないのが一番。4年後の日本代表に選ばれたら、力になるのかなと思っています」。まずは初の伝統の一戦で勇姿を。「自分の役目をしっかり果たしたいです」。思いを込めた1球1球がメッセージとなる。 ○…三村歩生(あい)内野手(19)と樫谷そら投手(18)は、神戸弘陵高1年時と昨年の3年時に全国制覇を果たした。幼少期から阪神ファンの三村は「まさかユニホームを着られると思っていなかった」と笑顔。伝統の一戦へ、樫谷は「去年1勝もできなかったと先輩方がおっしゃっていて。勝つという思いをすごく感じます」と話した。高橋愛(つぐみ)内野手(18)は岐阜第一高3年時に2人と戦い準優勝。「全員が調子を上げて、余裕で勝てたらいい」と意気込んだ。