戸惑う乗降扉に立ち入り禁止の先頭座席、でも床下からは聞き覚えのある音色が… アメリカで日本にはない韓国メーカー製電車に乗ってみた「鉄道なにコレ!?」【第56回】
日本人としての感覚では入り口が左、出口が右のほうが自然に思える。この場合は乗り込む時には左側の乗降口を通ることになる。 しかし、米国の自動車や鉄道の複線区間は右側通行で、左側通行の日本とは反対だ。ということは右側の乗降口から乗り込むのだろうか? 答えはあっけなかった。乗客は右側からも左側からも降りてくるし、乗り込むほうも右側も左側もお構いなしだ。つまり「どちらでも良い」のだ。 それならば、利用者が多いラッシュ時でもスムーズに乗り降りできるように扉の間に柱を設けなければいいのにと思う。 実際、SEPTAの2路線ある地下鉄に使っている電車はどちらも柱のない両開き扉だ。うちブロードストリート線(大通り線)では日本の川崎重工業が製造した電車「B4」が活躍している。1982年に登場したステンレス製車両で、先頭部の上部に計10個の円形のカラフルなランプが並んだ派手な見た目が特徴的だ。
▽前を向く先頭車両のクロスシート、「ロマンスカーGSE仕様」に期待するも… シルバーライナー5が入線してきた際、先頭部を眺めてひそかに期待したのが「ロマンスカーGSE仕様」の展望席だ。といっても、小田急電鉄の特急用車両「ロマンスカーGSE」70000形のように運転席を2階に設けているわけではない。 シルバーライナー5は先頭部の中央に貫通扉があり、正面から見て左側に運転席がある。一方、右側には車両先頭に向いて座るクロスシートがあり、1列目の「かぶりつき」席ならば迫力あふれる前面展望を楽しめるのではないかと考えたのだ。しかも通常の通勤用電車なので特急料金は不要で、乗れればお得感がある。 期待を抱きながら先頭に近づいていくと、待ち受けていたのはショックを受ける光景だった。2列目の座席のところに規制線が張られており、先頭の座席への立ち入りを「禁止」していたのだ。SEPTA関係者によると「衝突事故が起きた場合に乗客が死傷するリスクを考え、先頭の座席を使用禁止にした」ということだ。