名馬と日本語で心通わせ…フランス生まれのルメールが騎手人生語る〈関西発 月イチ! SPORTS〉
日本中央競馬会(JRA)のクリストフ・ルメール騎手(45)がJRA史上10人目の通算2000勝まで30勝(16日現在)としている。母国フランスから日本に拠点を移し、来春で丸10年。JRAでGI53勝を飾り、今年も172勝(同)で勝利数トップを走る名ジョッキーが四半世紀に及ぶ現役生活を振り返った。(聞き手・中安真人)
――有馬記念(GI)が近づいてきた。2005年は、追い込み馬のハーツクライを先行させ、無敗の三冠馬ディープインパクトに初めて土をつけた。
「大きな衝撃を与えることができました。歩幅が大きい馬で、(小回りで直線が短い)中山競馬場では戦法を変える必要がありました。日本で初めての重賞勝利だったし、決断が正しかったことが証明されて、とても誇らしかったです」
――勇気がいる決断。
「若い時から、アメリカやインドへ積極的に遠征しました。様々な環境に適応することで経験を積み、自信をつけてきました。だから、迷いはなかったです。自信がないと、正しい決断はできません」
「当時はインターネットもSNSも発達しておらず、欧州の人にとって日本はエキゾチックな国でした。先に来日していたオリビエ・ペリエ騎手(フランス)に『日本の競馬は面白い。熱狂的なファンもいる』と聞いて興味を持ちました」
――15年にフランスの騎手免許を返上し、日本の通年免許を取得した。
「新しい目標に向かうには新鮮な空気が必要です。フランスでは重圧にさらされていたが、日本に来て新人のような気持ちになれました。だから、非常に早く成功したと思います」
――18年に215勝で年間最多記録を樹立し、6度も最多勝利騎手に輝いた。
「それ以上に何度も負けています。負けると、なぜ負けたのかを考え、より良い成績を収めようとします。自分が最高の騎手と思ったことは一度もありません」
――レースで心がけていることは。