日本のアニメがアメリカ都市部の子どもに与える「影響」とは。『犬夜叉』好きのアメリカ人女性に聞いた
◆アニメが救った少女時代
――シャラニカさんのアニメへの深い思い入れは、さかのぼれば子ども時代の環境にあるそうですね。 「大学で日本のポップカルチャーを勉強しました。そこで少女漫画の中にはフェミニズムに関する重要な観点がたくさん含まれていることを知りました。その授業を選択したのは、アニメ好きだった少女の頃からうっすらと感じていた、何かがあったからだと思います。私の最初の少年・少女漫画は『犬夜叉』でしたが、アニメは少女の心の機微、欲望、大人の女性の課題や願望など、さまざまな重要な側面を見せてくれたように思います。 強調しておきたいのは、私はニューヨーク・ブルックリンの出身で、そこは世界で一番安全だとは言えない場所です。両親は共働きで、私はいつも妹たちと家に居ました。アニメがあったから退屈せずにやってこられたのです。ある意味では、アニメの存在がストリートに潜むさまざまなリスクから私を守ってくれたとも言えます。アニメのおかげでドラッグやギャングに夢を見ることなく大人になれ、いつか日本に行ってみたいと思うようになりました。 私の地元のような、決して安全ではない場所で育った子どもにとっては、アニメの存在そのものが非常に有意義だと思います。現実とは別の存在感で子どもを守ってくれる、物語の力を感じます。そしてアニメを通じて、日本には安全な環境があるのだと知った気がします」 ――アニメを見てから10、20年後、実際に日本に来てどう感じましたか? 「東京や大阪はブルックリンと比べてとっても安全だと感じます。韓国にも何度か行ったことがありますが、日本のほうが安全な感じがしました。一人で日本に行くこともありますが、そんな時でも怖い目に遭遇したことはありません」 この記事の筆者:Gena プロフィール ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
Gena