自由になりすぎても、欲求不満に陥っても問題が…第二次性徴が顕在化する思春期に起こる「性の目覚めと性的問題」
日本は今、「人生100年」と言われる長寿国になりましたが、その百年間をずっと幸せに生きることは、必ずしも容易ではありません。人生には、さまざまな困難が待ち受けています。 【写真】じつはこんなに高い…「うつ」になる「65歳以上の高齢者」の「衝撃の割合」 『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)では、各ライフステージに潜む悩みを年代ごとに解説しています。ふつうは時系列に沿って、生まれたときからスタートしますが、本書では逆に高齢者の側からたどっています。 本記事では、せっかくの人生を気分よく過ごすためにはどうすればよいのか、『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)の内容を抜粋、編集して紹介します。
性の目覚めと性的問題
思春期には第二次性徴が顕在化して、男子は男性らしく、女子は女性らしい体つきへと成長します。 それに伴い性的な興味も増し、性的な欲求も強まります。自慰行為を経験するのもこの時期で、羞恥心や罪悪感、自責の念を抱くこともあり、密かな葛藤を生じます。 同性との健全なコミュニケーションが取れていると、互いの経験を話し合ったり、情報交換することで、安心することもできますが、孤立していると悩みを引きずることになります。今はネットで情報が得られるので、悩むことも減ったでしょうが、代わりに過激な事例や不適切な情報も入りやすく、性意識の乱れにつながる危険性も生じています。 異性への関心が高まり、恋愛感情を抱いて初歩的な付き合いをはじめることは好ましい反応ですが、自由になりすぎると、望まない妊娠や性病、乱交などにつながる危険性もあります。 また、性的欲求が高まりすぎて欲求不満に陥ると、痴漢や盗撮、のぞき行為、不同意性交などの犯罪に至ることもあります。 自分の性的興味や性欲が強いのか弱いのか、あるいは人並みなのかは、比較の問題ですから何とも言えませんが、何となく私は強いのではないかと感じていました。中学一年生のとき、ある雑誌のアメリカの女優を紹介した記事に、「ボインちゃん」と書いてあったのを見て、たまらなく興奮しました。今なら巨乳ということで、写真があったわけでもないのに、言葉だけで妄想が爆発し、狂ったように自慰行為をしたのですから、やはり性欲は強かったのだと思います。 しかし、同時に勇気がないのと、潔癖さや危機管理意識も強かったため、性的欲求を実行に移すのは、かなり先にならざるを得ませんでした。気持ちの上では早くしたいのに、チャンスがない、相手がいない、どうやればいいのかわからない等で、不満を解消できない日々は長く暗いものでした。