ペリリュー島に日本兵1000人埋葬地、8日から遺骨収集へ…終戦78年の昨年に密林で発見
太平洋戦争の激戦地・パラオのペリリュー島で、米軍が日本兵の遺体を埋めた集団埋葬地が確認され、厚生労働省は8日から現地で本格的な遺骨収集に乗り出す。米側の資料に1086人を埋葬したとの記録があり、1000人規模の埋葬地からの遺骨収集は極めて異例だ。元兵士の遺族らは、遺骨の帰還に期待を寄せる。(波多江一郎、水戸支局 大井雅之) 【動画】パラオ・ペリリュー島…忘れられた激戦地(2015年)
同島の集団埋葬地を巡っては、駐留していた水戸歩兵第二連隊の戦友や遺族でつくる慰霊会が2013年、米カリフォルニア州にある「米海軍設営隊博物館」に保管されていた地図を入手し、同省に提供。その後の同省の調査で、1086人を埋葬したとする米軍資料などが見つかった。
これらの情報に基づき、同省から事業者として指定された「日本戦没者遺骨収集推進協会」(東京)が調査を始め、昨年7月から現地で10か所以上を試掘。同10月、島中央部の密林で、30メートル四方を等間隔で囲うように鉄くいが打たれている一帯を見つけた。
木々を伐採して地面を60センチ掘り返したところ、今年5月に2柱、9月に5柱の遺骨が見つかった。うち3柱はそれぞれ担架に乗せられた状態で、全身の骨が残っていた。
同協会の担当者は「周囲は自動車の残骸などが投棄されていたが、鉄くいの内側にはなかった。特別な空間で埋葬地だと確信した」と語る。同省は、遺骨がきちんと並べられていたことなどから、資料上の集団埋葬地にあたると判断した。
日本兵約1万人が戦死した同島では、いまだ約2400柱が眠る。同省などは現地に24人の調査団を送り込み、今月8日から本格的な収集を行う。
同省は来年度、パラオでの遺骨収集に関する予算を9300万円に倍増させる方針で、担当者は「戦後80年を前に遺骨収集の体制を強化していく」と話す。
同島に日本兵の集団埋葬地があることを示す資料の存在は、読売新聞が15年2月に報道していた。
収容数減少 112万柱未帰還
戦争が終結してから80年近くの歳月が流れ、収容される遺骨は減っている。