きっかけは「SR400」!? 人気急騰の激戦区400cc単気筒マシンを比較
■モダンなネイキッドのハスクバーナ「ヴィットピレン/スヴァルトピレン401」
上記の「390 DUKE」と同じフレーム、エンジンを採用している兄弟モデルがハスクバーナの2車種。「ヴィットピレン401」がスポーツネイキッド、「スヴァルトピレン401」はややスクランブラー的な装備とされたモデルです。個性的なシルエットのタンクを基調とするデザインは、どこか北欧的でスウェーデン生まれのブランドであることを思い出させます。 エンジンのスペックは「390 DUKE」と同様ですが、乗った印象は驚くほど異なり、着座位置が前方のKTMに対して、ハスクバーナの2車種は後ろ寄りの高い位置にあることからハンドリングも異なるフィーリング。コーナーを“攻める”のが楽しかった「390 DUKE」に対して、こちらは華麗に“流す”のが似合う味付けです。エンジンの印象も、こちらのほうが穏やかで街乗り向きに感じるのが不思議なところでした。 以前の「ヴィットピレン401」はセパレートハンドルで前傾がキツかったのですが、2024年モデルからはアップタイプのハンドルに。その分「スヴァルトピレン401」との違いはハンドルの高さくらいになっているはずが、この2車種でもハンドリングの印象は異なります。スポークホイールにスクランブラー的なタイヤを履く「スヴァルトピレン401」の方が、オフロード車的な軽快なハンドリング。同じ車体とエンジンを使いながら、ここまで異なるフィーリングに仕上げられるということに驚かされました。 冒頭で書いたように、ラインナップが充実している400ccクラスの単気筒モデルですが、乗り比べてみるとそれぞれに個性があり、乗り味も違うことが実感できます。大きく分けると、空冷モデルと水冷モデルがスペック値にあらわれているように性能差があるので、フィーリング重視であれば空冷を、走りの性能を求めるのであれば水冷を選ぶほうが良さそうです。シングルエンジンのバイクは一時期、国内での選択肢が非常に限られていましたが、ここにきて選ぶ楽しみが味わえるほどのラインナップが揃ってきたのは、バイクファンにとってはうれしい限りです。
<取材・文/増谷茂樹>