キャサリン妃やダイアナ元妃の「ティアラ」と「王冠」の違いは?3つのヘッドピースの役割を解説
ボールガウンやイブニングドレス、オーダーメイドのスーツなどは、ロイヤルたちのワードローブに欠かせないもの。ですが、王冠やティアラ、コロネット(小冠)も同様に、なくてはならない存在です。 ロイヤルメンバーや貴族たちの頭上に輝くこれら3種類のヘッドピースには、どのような違いがあるのでしょうか。おさらいしてみましょう。
王冠
イギリスで最も有名な王冠のひとつは、戴冠用の王冠として知られる「聖エドワード王冠」です。王室が所有する宮殿と城を管理する慈善団体、ヒストリック・ロイヤル・パレスのウェブサイトによると、この王冠は1661年、国王チャールズ2世の戴冠のために制作されました。 それ以前に戴冠式で使用されていた王冠は中世に作られたもので、1649年に国王チャールズ1世が処刑された後、議会派によって“鋳つぶされ”、地金に戻されたといいます。 聖エドワード王冠は1953年に行われた女王エリザベス2世の戴冠式以来、2023年の国王チャールズ3世の戴冠式で初めて公の場で披露されました。戴冠式ではこの王冠以外にも、十字架の王笏(セプター)や宝珠(オーブ)、戴冠のスプーンなど数々の「クラウン・ジュエルズ」が使用されました。 <写真>戴冠を記念して撮影された、聖エドワード王冠を戴くエリザベス女王のポートレート、1953年6月
イギリス王室にとってはもうひとつ、重要な王冠があります。「大英帝国王冠」です。金と2868個のダイヤモンド、17個のサファイア、11個のエメラルド、269粒の真珠、4個のルビーが施されたこの王冠は、ウェストミンスター寺院で行われた戴冠式の終了後、寺院を出る君主の頭上に乗せられます。 在位中の国王や女王が戴く王冠にはたいてい、ダイヤモンドやサファイア、ルビー、真珠などの宝石がちりばめられています。この王冠はそのほか、毎年行われる議会開会式など、君主が国家行事に出席するときに着用するものとなっています。 <写真>戴冠式後に大英帝国王冠を着用するチャールズ国王、2023年5月