キャサリン妃やダイアナ元妃の「ティアラ」と「王冠」の違いは?3つのヘッドピースの役割を解説
ティアラ
このヘッドピースの起源は、古代ギリシャ・ローマの時代にまでさかのぼります。もともとは君主が着ける冠(ヘッドバンド)を意味する「ダイアデム」と呼ばれるものでした。ヨーロッパでは18世紀以降、地位の高い女性が着用するものとなっています。 王冠は環状ですが、ティアラは半円形など、完全な輪にはならない形状となっています。また、王冠は男性でも女性でも使用しますが、ティアラは女性が身に着けます。 キャサリン皇太子妃が最後に公の場でティアラをつけた姿を披露したのは、2023年12月に出席した外交レセプションでした。また、亡きダイアナ元妃は数多くの機会に「スペンサー・ティアラ」や「ラバーズ・ノット・ティアラ」を使用していました。 <写真>香港でラバーズ・ノット・ティアラをつけたダイアナ妃、1989年11月
国王または女王が着用する王冠とは異なり、ティアラは誰でも着用できるものです。通常は、ドレスコードが最もフォーマルな「ホワイトタイ」とされるイベントに出席するときに着用します。 ジュエリーの専門家、ジェフリー・マン氏は『タウン&カントリー』誌のインタビューで、王冠や小冠と異なり、ティアラが「富や地位を象徴するものだったことはない」と説明しています。また、ティアラは「古代からの伝統に従い、着用するのは花嫁または既婚の女性」と決められています。 <写真>ディプロマティック・レセプションでラバーズ・ノット・ティアラを着用するキャサリン皇太子妃、2023年12月
コロネット(小冠)
より位の低い王族や貴族たちが着用する小型でシンプルな冠が、コロネットです。公爵や女公爵または公爵夫人など、そして一部の領主とその夫人など、称号を与えられた貴族が使用します。 コロネットは、爵位によって着用する種類が決められています。 公爵・女公爵または公爵夫人:シルバーギルト(金メッキを施した銀)の環状の冠に、苺の葉をかたどった飾りが5つ付けられています 侯爵・女侯爵または侯爵夫人:苺の葉をかたどった飾りが4つと、球状のシルバー(本物の真珠ではありませんが、「パール」と呼ばれます)の飾りが4つ、冠の上端より少し上の位置に付けられています 伯爵・女伯爵または伯爵夫人:苺の葉をかたどった飾りが8つと、その飾りの上端より高い位置にくるように、8個の「パール」が配されています 子爵・女子爵または子爵夫人:冠の上に、16個の「パール」が並べられています 男爵・女男爵または男爵夫人、貴族院議員(ロード・オブ・パーラメントまたはレディ・オブ・パーラメント):冠の上に、6個の「パール」が並べられています。 <写真>父・ジョージ6世の戴冠式でフルール・ド・リス(ユリの紋章)と十字が交互に配されたコロネットを着用するエリザベス王女(当時) From TOWN&COUNTRY