性行為、サプリ摂取もNG?尿検査の前日にしてはいけないこととは〈意外と知らない尿検査〉医師が解説
尿検査の前日にしてはいけないこと、尿検査で測定していることなどを医師が解説します。 〈写真〉大腸がんだけじゃない?【便潜血検査】でわかる病気とは ■尿検査とは? 尿検査とは、尿中の蛋白や糖などを調べ、様々な病気やその兆候を知ることができる検査です。 尿中の蛋白は腎臓の病気、潜血は結石や腎炎等、糖は糖尿病関連、ウロビリノーゲンは肝臓の病気の可能性があります。 尿検査では、主に、尿蛋白、尿糖、尿潜血、尿沈渣、尿比重などを測定して、これらの項目の結果から、腎臓病や膀胱・尿管・尿道、糖尿病などの病気の可能性を調べることができます。 また、心臓病や肝臓病、ストレス、妊娠までも尿で兆候を知ることができるため、一般健康診断でも必ず実施されている検査です。 ■尿検査の前日にしてはいけないこととは? 採尿に適した時間は、健康診断を受ける時間によっても異なり、午前中に健診を受ける場合は起床後最初の尿を、午後に健診を受ける場合は来院直後の尿を採取するのがよいです。 ■■生理中 女性の場合、生理中でも尿検査は受けられますが、経血の混入により「潜血」と判断されてしまう可能性があり、経血なのか病気などが由来する出血なのか判断がつかず、再検査になることも多いです。 健康診断当日に生理期間が重なることがわかったら、健康診断そのものを日程変更するか、後日尿検査だけ別途受けることをおすすめします。 ■■性行為 男性の場合は、特に性行為後に尿検査を行うと尿蛋白が陽性になりやすいため、前日の性行為は避けましょう。 男性の精漿(精液の精子以外の液体部分)にはタンパク質であるアルブミンが含まれており、とくに性行為後の最初の尿は陽性とされる可能性があります。 女性は避妊具を使うことで、尿蛋白検査への影響は避けられます。 男性も女性も、尿検査の際には必ず中間尿を採尿しましょう。 中間尿とは一度の排尿の中で少し出したあとの尿のことで、尿道や陰部の雑菌混入を防ぐ目的で推奨されています。 ■■薬の服用 医師から毎日飲むように指示されている薬は、尿検査前日であっても、通常通り服用し、健診当日の朝に飲む薬は、検査の2時間前までに服用しましょう。 ■■サプリメント摂取 基本的に、尿検査前日は、自由に飲食できますが、ビタミンが含まれる薬やサプリメント、栄養剤などは尿の成分に影響が出て、正確な結果が判定できないため、尿検査の結果に影響するため検査の2~3日前から中止しましょう。 特に、ビタミンCにより糖尿病の有無を診断する「尿糖検査」の結果が正しく判定されない可能性があります。 そのほかのサプリメントは食事と同じ扱いとして、検査前日の夜(21時以降が目安)と検査当日は、内服を中止しましょう。 睡眠前に内服するサプリなど21時以降に服用が必要なサプリは、事前に医療施設へ確認しましょう。 ■まとめ 尿検査は、採尿をして「尿の成分」を調べる検査です。 尿は体調や生活環境、摂取したものなどでも変化が出るため、においや色、量からも健康状態をセルフチェックできます。 健康診断前日の暴飲暴食や性行為、当日の喫煙など、注意事項を守れなかった場合は、正直に検査を実施する医療施設まで申告しましょう。 検査結果に影響する可能性があると判断された場合、受診日程の変更を指示されることもあります。 健康診断は自身の身体の状態を把握する大切な機会です。 検査の数値をよくしたい、再検査に引っかからないようにしたいなどの気持ちも理解できますが、急場しのぎの対策をすることで正確な検査データが得られなかったとしたら、本末転倒です。 尿検査の結果を正しく評価するためには、健康診断の前だからといって特別なことはせず普段通りの生活を心がけて、そのうえで医療施設からの注意事項を守ることが大切です。 今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。 文/甲斐沼孟(医師)
甲斐沼 孟