職場の「不正」見て見ぬふりはなぜ起きるのか 私的なものを経費申請、文具の持ち帰りなども
この研究における仲間外れとは「職場で他の人に無視された」「職場で他の人に、まるであなたがそこにいないかのように扱われた」などの記述を通じて評価されました。 その結果、非倫理的行動と仲間外れの関係は、従業員の生産性によって異なることが明らかになりました。 生産性が低い従業員では、非倫理的行動への関与は仲間外れにつながるものでした。ところが、上司から生産性が高いと評価された従業員では、非倫理的行為と仲間外れの間に関連は認められませんでした。
研究者は、従業員が組織にとって価値ある存在のときは問題にしない悪事も、業務成績が悪い従業員では公然と非難される可能性が高いことを指摘しています。言い換えれば、「高い業務遂行能力には非倫理的行動を相殺する働きがあるかもしれない」のです。 この知見は、21世紀フォックスが、2017年にフォックス・ニュースのトップクラスの司会者だったビル・オライリーとの契約を延長したこと、彼による複数のセクハラ被害の訴えを認識していたにもかかわらず、年間推定2500万ドルを彼に支払うことに合意した理由を説明するのに役立ちます。
オライリーは、最終的にフォックス・ニュースから解雇されましたが、それはセクハラに対するクレームと関連する和解が公になった後でした。おそらく、その時点で広告費の損失という金銭的な代償に耐えきれなくなったのだと思われます。
キャサリン・A・サンダーソン :アマースト大学マンウェル・ファミリー生命科学(心理学)教授