コミカルプロレスで活躍、義眼の現役レスラー「救世忍者乱丸」。不可能を可能にする力とは?
自分の生い立ちをテーマにした講演活動を実施、ありのままを語る
8月31日、「西区民センター」(大阪市西区北堀江)で行われた「OZA×BUN(オザブン)」(OZアカデミー×ZABUNの合同興行)の試合では、タッグマッチ20分1本勝負に挑んだ。乱丸とハイビスカスみぃの「なにわ★凡女美ィートルズ」として登場し、特殊なコスチュームで会場を笑わせて盛り上げた。途中、コミカルな踊りを披露したり、いっぽうで、空中技も繰り出して試合に勝利した。 最近は自分の生い立ちをテーマにした講演活動も行っている。中学生や高校生を対象にした講演から企業向けの講演などで、そこではありのままの自分を語る。 ―夢がないのはダメですか? 乱丸 講演で高校生の質問コーナーをやった時に、「僕、夢がないんですけど、ダメですか?」って、そういう質問が多かったんです。夢って、追い求めると手に入るん違うかなって。夢は必ず実現できるって断言する人とかいるじゃないですか。私、それが苦手で。障害にもいろんな重さがあるし、実現できないこともあるでしょう。 講演会の時に必ず言っているのが、「今、夢はなくてもいいんだ」ってこと。自分が何かをしたいと思った時に、「今日の話を思い出してくれたらいい」って。焦って夢を探しに旅に出るとか、そんなんいらん。今、高校生がいちばん悩んでいるのは「夢がない」ってことなんです。大学もどこ行ったらいいかわからんし、就職したいって言っても、わからん。そんなもんです。でも、いつか夢が持てる時が来る、と。
―講演では素顔になる? 乱丸 乱丸のコスチュームで出て、しゃべる時にマスクを脱ぐんです。昔、ジャガーさんに拾ってもらった時に、「あなたは素顔で障害者のために何かをやる時期が来るよ」って言われたんです。講演会の話が来た時にその時やって。事後報告でマスクを取った話をしたら、「なんでマスクを外すのよ」って怒られました。やっちゃったからしょうがないけど。テレビで脱いでって言われた時は、ジャガーさんに相談したら、「あなた、何考えてんのよ、夢を壊したらダメよ」って、それでテレビはNGです。さすがにテレビでは勇気もないし…。今、プロレスが楽しい。いったんリングを去った私だけど、その分、恩返しで業界を盛り上げていきたいです。 そう話す乱丸選手のアツい戦いは今後も続く。果たして女子プロレス界の救世主となるか? 9月21日、東成区民センターで第10回記念大会「乱丸フェスタ」を開催する。詳しくは、乱丸公式サイトで。 (文責/フリーライター・北代靖典)