企業価値60億ドル超え、自動運転ソフトウェアスタートアップApplied Intuitionが注目される理由
道路から地形へ
Applied Intuitionは2024年6月、オフロード自律走行スタックソリューションを発表した。従来の自動運転システムが苦手としていた舗装された道路以外でも自動運転を可能にする新しい技術だ。 例えば、従来の2次元地図(平面的な地図)を立体的に理解し、正確な標高情報の取得によって山や谷、急な斜面なども理解し、危険を避けながら走行することができる。また道路がない場所でも、走れるか走れないかを判断し、雨や雪、季節などの気象にも対応する。 そして、周囲の環境をリアルタイムで理解し、地図を作成しながら自分の位置を把握できるので、詳細な地図がない場所でも、自動で進路を見つけて進むことができる。動いている物体と動いていない物体を区別し、それぞれに適切に対応することも可能。さらにGPS信号に依存しないナビゲーション能力があり、この技術を適応すれば、建設現場や農場、鉱山、災害現場や未開の地での探査活動のみならず、地下や宇宙空間でも自動運転が可能になるのだ。 Applied Intuitionの共同創業者兼CTOであるPeter Ludwigは、この技術について「最新のAIとML技術を従来の安全性とシステムの専門知識と組み合わせ、最も困難な環境で最先端のパフォーマンスを提供する」と述べている。 この技術は、Applied Intuitionが単なる開発支援ツールの提供者を超えた「自動運転技術の革新者」であることを示唆しているのではないだろうか。自動運転の概念を「道路」から「あらゆる地形」へと拡張すれば、平野は果てしなく広がり、産業界に新たなパラダイムシフトをもたらす可能性は高い。
文:水迫尚子 /編集:岡徳之(Livit)
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