自動車の「内燃機関」に未来はあるのか? 2017年クルマ業界展望
シリーズ型ハイブリッドと内燃機関の可能性
ということで、インフラと補充時間の両面でまだまだ化石燃料の優位は続く。日産ノートe-POWERのブレークでハイブリッドが再注目されている。これはなかなか面白い。e-POWERの特徴は、モーター駆動のメリットを享受しつつ、充電という問題を解決した点。それに加えて加速と減速をほぼアクセルだけで行えるワンペダルドライブの魅力もある。
e-POWERは「発電専用エンジン」を搭載して電力を確保し、駆動はモーターのみで行う。自動車の動力源としてモーターは大変優れた特徴を持っている。速度ゼロから駆動力を発揮できること、論理的にその時の駆動力が最大になることの2点だ。内燃機関の場合、止まった状態から力を出すことができないが、モーターはそこで大きなトルクを発生できる。停止から動き出す時に明らかに軽快だ。そして、回転数が上がるに連れて徐々にトルクが落ちて行くので、ドライバーが予測しやすい。内燃機関の場合、トルクの出方がリニアにはならない。それがドラマチックであることは認めるが、機械としては欠点であり、その魅力は欠点の美化であることも忘れてはならない。
さて、最初の話に戻れば、今後20年で最も伸びるマーケットは新興国マーケットだ。仮にどんなに燃料電池が進歩しても、あるいは電気自動車のバッテリーが進歩しても、新興国にそれらのインフラを整備するには時間が足りない。さらに修理や整備の問題もある。技術や環境、設備の整っていない国でも修理や整備が出来ることは極めて重要なのだ。 しかも初期投資が高額では普及は難しい。新興国マーケットで買われるのは現状70万円前後のクルマであり、今後の経済発展を見込んでも、当面は100万円ラインの攻防になるはずだ。ということに鑑みると、安価なクルマの環境性能を向上させなければ、われわれは地球環境を末永くしゃぶり尽くせなくなる。それは困るのだ。 そういう意味では、スズキとダイハツが持っているエコカー技術こそ人類全体の希望である。小型車は、いや小型車こそが地球を救うのだ。