リオティント、鉄鋼脱炭素化へ西豪州鉄鉱石を有効活用。三つのアプローチで技術開発
英豪系資源大手リオティントの鉄鉱石部門で、鉄鋼脱炭素化を担当するサイモン・ファリー氏は7日、鉄鋼業が脱炭素化を目指す際に必要となる鉄鉱石の開発に関し、バイオマス(生物資源)活用など三つの開発テーマを軸に複線的に研究開発・実用化を目指す考えを示した。 リオティントは鉄鋼脱炭素化の専門チーム(約20人で構成)を設置済み。ファリー氏は同チームを統括しており、7日、鉄鋼新聞などの取材に応じた。 鉄鋼業の脱炭素化では、高品位鉄鉱石を使った還元鉄技術、大型電気炉での鉄スクラップ活用技術などが有力とされる。ただ、いずれも原料供給面で制約があり、年間9億トン規模の鉄鉱石輸出量を誇るオーストラリア・西豪州の鉄鉱石の活用が課題となっている。 同州の鉄鉱石は還元鉄向けなどでは不向きとされるが、リオティントは鉄鋼メーカーなどとの連携を通じ、西豪州産鉄鉱石の有効活用技術の開発を目指している。 ファリー氏によると、リオティントが目指す主な西豪州産鉄鉱石の活用技術は(1)電気溶融炉での鉄鉱石還元技術(2)バイオマス活用技術(3)鉄鉱石の品位向上技術――の三つ。ファリー氏は「どのアプローチが技術的・経済的に有効かの判断は現時点では難しい。多くの選択肢を持つことが重要」と語り、複数の技術開発を同時並行で方針を示した。 三つの技術のうち、リオティントの独自技術を活用して開発中なのがバイオマスを活用する「バイオアイアン」。廃棄作物と鉄鉱石を混ぜてブリケットにし、マイクロウェーブで還元する技術。26年にも時間当たり1トンのパイロットプラントを稼働させ、実用化に向けた課題を洗い出す計画。 ファリー氏は「電気消費量が少ないのが特長。西豪州の鉄鉱石をそのまま使える」と語り、西豪州鉄鉱石の有効活用技術としての期待を強調した。