ひみ里山杉で被災住宅再建 仙台から移住の荒井さん 県内初、日本古来「板倉構法」で
能登半島地震で半壊の認定を受けた氷見市阿尾で、壁や床、屋根をすべてひみ里山杉の厚板を使用する「板倉構法」で再建住宅が建築される。同構法の住宅は県内初とみられる。解体後、再利用できる柱や、はりも使う。今後、氷見市内で住宅再建が進むとされる中、同工法は注目を集めている。 再建するのは、仙台市出身で、4年前に氷見市阿尾の築約60年の木造住宅に移住したNPO法人自伐型林業推進協会事務局の荒井美穂子さん(56)。都内に夫が暮らし、2拠点生活を続ける。 「板倉構法」は日本古来の神社や穀物倉庫に導入された建築方法で、材料に大量のスギを使用する。東日本大震災で、福島県いわき市の仮設住宅に導入された。断熱性、調湿性、耐震性、防火性に優れ、仮設住宅は2018年の西日本豪雨被害に遭った岡山県総社市に移築して再利用された。 荒井さんは、東日本大震災でのボランティア活動時代に知り合った日本板倉建築協会代表理事の安藤邦廣筑波大名誉教授に「板倉構法」での住宅再建を相談した。安藤さんの協力で、県内で初めて同構法で住宅を建てることになった。 計画では、半壊の木造2階建て住宅を8月中に取り壊し、木造平屋建て住宅を9月に着工し、来年2月の竣工を目指す。古い部材や屋根瓦を再利用して建築費用を約2割下げた。県や市の補助金を活用して建築費は約1200万円を見込む。 安藤代表理事が主宰する「里山建築研究所」が設計し、県内の製材、建築会社が建設する。富大芸術文化学部の藪谷祐介講師や学生がワークショップを行う。 荒井さんは「住宅の再建を考える人たちのモデルになればうれしい」と話した。