【業界人図鑑 vol.2】インハウスアーティストの醍醐味、メイクアップ起点に幅広い世界へ ヘアメイクアップアーティスト 武田玲奈
Q 転機は?
武田:2013-15年と16-19年の2度のニューヨーク駐在です。1度目はディック・ページのアシスタントとして、2度目は基幹ブランド「SHISEIDO」の開発拠点のNY移管に伴うものです。いずれも強烈な体験でした。ディック・ページに憧れていつかニューヨークで仕事をしたいと思っていたので英語はずっと勉強していましたし、メイクアップアーティストとしての経験もそれなりに積んできたつもりでした。でも、実際に行ってみると何もかも違う。メイクやファッションのことはもちろん、アートやカルチャーの深い知識も必要で、コレクションが始まればヘアやモデル、デザイナーまで全員が一流で絶対に失敗もできない現場で、緊張感もまるで違う。勉強してきたはずだった英語も理解できない。ショックでした。
Q 得たものは?
武田:文字通り世界最先端のクリエイティブの現場で仕事をできたことは本当に大きな財産でした。クリエイティブの根幹の部分だけでなく仕事のやり方も変わりました。ディック・ページは常に新しい人や情報に貪欲で、例えばショーでは世界中から集まる人たちとのネットワーキングにも積極的でした。そうしたところは私も取り入れています。2回目の駐在では、基幹ブランド「SHISEIDO」のリブランディングで、グローバルブランドとしての「SHISEIDO」に変わるべく、開発拠点を日本からNYに移すことになり、メイクアップアーティストとして参加しました。日本人は私も含めても3人で、大半のスタッフは一流のスタッフを外部から集め、名実ともにグローバルな体制・やり方にガラっと変わりました。日本だとついできることがあるとつい自分で手を動かしてやってしまいますが、アーティストとしてやるべきことに集中し、それ以外の仕事は思い切ってアウトソーシングする。そんな仕事術を実践できたことは大きかった。
Q 新人ヘアメイクアップアーティスト、あるいは目指す人たちにメッセージをお願いします。