リビアが直面する「首相が2人」の異常事態――大統領選挙はなぜ延期されたのか
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2021年12月24日に予定されていたリビアでの大統領・議会選挙は、選挙予定日の2日前に延期が発表され、今後の実施可能性についても不透明なままである。暫定政府が存続するにもかかわらず、2022年3月には代表議会(HOR)が新政府を承認したことで、「1つの国に2人の首相」が併存する事態となった。「アラブの春」以降10年以上、政治・治安情勢が不安定であり続けたリビアにとって、選挙への道のりは決して容易ではなく、政治対立の激化や内戦への逆行が危惧されている。 日本での関心は低いものの、政情の不安定なリビアが アフリカから地中海を越えて欧州を目指す移民 の玄関口となり、テロ組織や武装勢力の拠点となり、治安悪化に伴うリビア産原油の生産量の乱高下がグローバルな石油価格の変動要因となっている現状は、周辺国にとって極めて大きな脅威だと認識されてきた。
本文:5,480文字
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小林周