救急車の出動には1回「4万5000円」かかる!?有料化がすすむ背景とは?
近年、救急車の利用に関して議論が活発化しています。中でもとくに注目される論点は、救急車の出動一回あたりにかかる費用と、有料化の可能性です。 本記事では、救急車の利用にかかる実際の費用や有料化が検討される背景、社会に与える影響について考察します。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
救急車の出動に必要なコスト
救急車の出動にかかる費用は、一回あたりおよそ4万5000円にものぼるといわれているようです。この金額には、人件費、燃料費、車両の維持費など、さまざまな経費が含まれています。 現在、この費用は税金によって賄われており、行政サービスの一環として行われていることから、利用者は直接料金を支払わなくても救急車を利用できます。しかし、この状況が今後も続くかどうかは不透明といえます。
救急車利用の現状と課題
総務省消防庁が発表する「令和5年版 救急救助の現況 救急編」によると、令和4年度の救急出動件数は約723万件、搬送人員は約622万人と、過去最高であることが分かりました。この数字は、近年右肩上がりで増加し続けています。 同データでは、救急車で搬送される患者のうち、約半数が入院する必要がない軽症であることが分かっています。緊急性の高い重症患者のために確保されるべき救急体制が、必ずしも適切に利用されていないことを示すものといえるでしょう。 救急出動件数の増加は、救急医療全体に大きな負担をかけており、救急隊員の過重労働や、病院の救急受け入れ態勢のひっ迫など、さまざまな問題を引き起こしています。
救急車有料化の背景
総務省消防庁の「令和5年消防白書」によると、消防関連予算は年間2兆円以上であるようです。費用削減の必要性が高まってきた中で、救急車の有料化は、この膨大な予算を削減するための対策として検討され始めした。 救急車を有料化することで、軽症での利用や、タクシー代わりの利用などの不適切な利用をおさえて救急医療の効率化を図り、緊急を要する患者の利用を確保することが目的です。 日本では現在、救急車の利用は原則無料ですが、中国やアメリカなどではすでに有料化されています。国際的な基準に合わせる形で、日本でも有料化の検討が進められた背景もあるでしょう。