【インタビュー】巨人・山崎伊織 初心に帰って「優勝のために、去年よりも勝ちたいし、去年よりも抑えたいし、去年よりも投げたい」
意図の伝わる投球
巨人・山崎伊織
4年ぶりのリーグ優勝、その先の日本一へ、若き投手たちが台頭する先発陣の奮闘は必要条件になる。カギとなる筆頭格はこの男。昨季の自身初となる2ケタ10勝にも「それを何年も続けていくこと」と、慢心とは無縁のまま新たなシーズンへ向かう。 取材・構成=杉浦多夢 写真=宮原和也、桜井ひとし、BBM 2020年6月にトミー・ジョン手術を受けていた男を、秋のドラフトで2位指名した球団の目に狂いはなかった。1年目の21年をリハビリに費やした右腕は、翌22年に復活を果たして5勝をマーク。そして右肘の不安も完全に消えた昨季、チーム2位となる10勝を挙げた。ボールの質においても、投球の組み立てにおいても、バッターとの向き合い方においても、今季のさらなる進化を予感させる確かな手応えをつかんだ。 ――昨季は1年間を投げ切りました。もう右肘に不安はないのでしょうか。 山崎 キャンプに入る前からしっかりケアはしてきました。もちろん一度、手術をしているので、自分の中で肘の張りとかに関しては敏感になる部分があります。ただ、そういうときでも必ずトレーナーさんたちと話をしながら、「それは大丈夫だよ」「チェックしてみよう」と言ってもらっているので、今のところは全然不安なくできていますね。 ――入団した2021年はリハビリで終わってしまったことを思うと、1年間投げ切れたことの意義は大きいのでは。 山崎 いや、一昨年(22年)に初めて投げることができたときに比べると、全然普通というか。そこに関して何か特別な思いはなかったですね。 ――最終的には2ケタ10勝をマークしました。 山崎 1年前のこの時期はまだ肘の状態があまり良くなくて、今年みたいにキャンプでバンバン投げることができずにスタートとしては最悪だったんですけど。そこで自分を見つめ直すことができたというか、いい時間にできたのが、その後につながったと思います。 ――10勝目を前に足踏みが続き、シーズン最終戦で2ケタ勝利を達成しました。 山崎 そこまで(9勝目を挙げてから)の試合も打たれたわけではなく、自分の仕事はしっかりできていたと思うので。ただ・・・
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週刊ベースボール