開幕ダッシュに失敗した誤算チームのなぜ?
プロ野球は開幕から9試合を経過したが、開幕ダッシュに失敗したチームが目立つ。 セ・リーグでは広島と巨人。パ・リーグではオリックスだろう。
セ・リーグでは前評判の高かった2チームが開幕ダッシュ失敗
広島の誤算は打線。広島のチーム得点「23」はセ最低。本塁打は2本で菊池以外は打っていない。エルドレッドとロサリオが開幕に間に合わず、阪神から移籍の新井まで故障を抱えて、ここまでスタメン出場は難しかった。 緒方采配も迷走中。開幕前に「1番・鈴木誠也」を宣言。3年目の鈴木にリーディングヒッターの大役を期待したが、1本のヒットも出ずに、わずか2試合であきらめ、ルーキーの野間にバトンタッチ。鈴木の打率は、現在、1割に満たない。調子をみながら猫の目のような打線変更を繰り返しているが、点を取っても開幕前から不安視されていた中継ぎ陣が崩れる。特に勝ちパターンのセットアッパーとして計算していた一岡が、もうつかまってしまっている。せっかくの黒田効果をうまく勝ち星につなげることができていない。泥沼の6連敗だ。 阪神にやっと連勝した巨人も、まだ借金「1」。チーム打率が.227と低いが、それ以上に致命傷なのが、4.62のチーム防御率。止まらぬ投壊現象だ。3月28日の横浜DeNA戦では、先発のポレダがスタートで崩れ、31日の中日戦では一度は追いついたが、マシソンが耐え切れずに逆転に失敗。4月1日の中日戦では、先発の大竹が3回持たずに4失点。翌日のゲームでは、今度は勝利の方程式の一人、山口がつかまった。マシソン、山口に関しては、オープン戦で不安を残したまま開幕を迎えたが、新守護神の沢村につなぐまでのイニングに綻びが生まれてしまっている。 ヤクルトからFA移籍してきた相川の怪我で「一塁・4番・阿部」の構想も、わずか6試合で崩壊。阪神戦からは、阿部がマスクをかぶった。秋からキャッチャーの練習を一切と言っていいほどしていなかった阿部のバットは、皮肉にも古巣のポジションで元気を取り戻したが、首に不安を抱えているため、1シーズンという長い目で見ると不安な緊急出戻りコンバートになる。 またキューバ人のセペタが8試合で1本のヒットも打っていない。グリエルと違って早い段階からチームに合流した優等生だが、来日2年目も戦力となっていないのは誤算と言えば誤算だろう。 元巨人OBで評論家の広岡達朗氏は、「次の若手を内側から育てていないツケだ。球団の考え方とともに、教える側の能力の問題もある。これは、阪神にも言えることだが、基本を徹底して繰り返し教えるということをしていない」と、古巣に対して厳しい意見。 阪神DCで評論家でもある掛布雅之氏は「キャンプ、オープン戦の段階で内海を欠き、マシソン、山口の不調を理解していた原監督は、誤算ではなく、ある程度こういうスタートは折り込み済みだったのではないか。開幕ダッシュの失敗で今季の巨人を評価することは危険だろう。逆に長い目で見れば、阿部もキャッチャーに戻ったことで打ち始めているし、村田が8番にいる打線は怖いですよ」という。 ただ広島に関しては「黒田に注目が集まりすぎた。先発ピッチャーは計算できるのに、これだけ打てなければ緒方監督は誤算というよりも、ゲームプランを立てにくいのだと思う。指揮官が打線を変え、考えすぎるようになるのは理解できる。4番が決まってこない限り苦しいだろう。そこは新外国人なのか、新井のお兄ちゃんなのか。打線が整備されマエケンが勝ち始めれば軌道修正はできるだろう」と見ている。